忘れな草 テノール佐野成宏さんを偲んで

忘れな草  Non ti scordar di me     ディクルティス作曲 
                                                                    フルノ作詞
                     訳詞:佐野成宏

寒く太陽もない私の国から つばめ達は去っていった
すみれの花咲く春と愛と幸福の巣を探し求めて
僕のいとしいつばめも去ってしまった
さよならも 別れの口づけもなく

僕を忘れないで
僕の人生は君と結ばれている
きみを いつももっと愛し続ける
夢の中には いつも君がいる

僕のことを忘れないで
僕の人生は君とずっと結ばれている
僕の心の中には君のための 愛の巣がいつもあるから
僕のことを忘れないで

 

2月18日、今日は佐野成宏さんのお誕生日。還暦をお迎えの予定でした。光り輝くテノールは飛び去ることなく、ずっと私たちの心にあります

※この曲を、佐野成宏さんの声を!初めて耳にし衝撃を受けたのは、日野原重明先生が立ち上げられた「癒しと安らぎの環境」フォーラムでのことでした
当時、医療施設等はともすれば、機能に重きを置くばかりに、患者さん方々にとっては無味乾燥な施設になりがちで、その頃ようやくクオリティ・オブ・ライフ(QOL)が重視されるようになりました。施設の環境も、癒される、あるいはやすらぎを得られる場であるべきではないのか、という意識が醸成されつつあった中発会し、この活動を普及させていく為、広報活動の一環として当フォーラムの名誉会長である日野原先生が総監修、当フォーラム実行委員・テノール歌手の佐野成宏さんのご厚意により出来上がった、チャリティのCD「幸福の歌」の中の一曲です
ピアノはあの河原忠之さん、指揮は佐藤正浩さん、音楽監修・編曲は大島ミチルさんという豪華メンバーの素晴らしい、祈念すべき貴重なCDとなりました

あいまい表現が生む「良い加減」

擬態語や擬音語、目分量。わかるようでわかりにくいお料理の言葉
あいまい表現編が紹介されていました。あいまいだからこそ、自分ならではの味ができるのかも・・・?

・ひたひた
食材が水や出汁などに9割方、つかっているような状態。
「かぶる」は食材全部がぎりぎり水面下にある状態

・少々
親指と人差し指でつまんだ量
一つまみより少なく、塩なら0・3~0・6㌘程度
少々は塩以外にもよく使う表現で、㌘で表しにくい、ごく少量を指す言葉

・とろ火
(最も弱い火加減。とろ火、弱火、中弱火、中火、強火の順に強くなる。とろ火~中弱火までは鍋底に炎は当たらない。強火は鍋底全体に炎が当たる

・ひとつまみ
親指、人さし指、中指の3本でつまんだ量。塩で使うことが多く、0・6~1㌘ほどで、幅がある。軽量スプーンで言えば小さじ10分の1~6分の1程度

・ぐらぐら・グツグツ
ぐらぐらは、水蒸気の大きな泡が至る所で上がり、激しく沸騰している状態。
グツグツは、煮物などを中火~強火で煮る時によく使う表現

・ふつふつ・コトコト
ふつふつは、鍋底のところどころから水蒸気の細かな泡が立ち上がる「微沸騰」が続いてる様子。コトコトはシチューなどを弱火でじっくり煮込んでいる様子

・耳たぶ位の硬さ(白玉団子作る時によく言われますね)
滑らかで軟らかだが、まとめた時の形を保ってくれるくらいの硬さ。白玉団子やうどんの生地の硬さの目安

・雪冷え
常温は「冷や」、冷やしたものは「冷酒」。冷酒のなかでも5度程度にキンキンに冷やすと「雪冷え」
10度くらいなら「花冷え」、15度くらいなら「涼冷え」

               監修=東京聖栄大教授・福留奈美さん
               協力=料理研究家・渡辺あき子さん

わ~っ難しい、普段何気にやってることも文字で書くとかえって難しい・・

そう言えば、先日よく行列出来ている洋菓子売り場が、珍しくすいてたので試しに買ってみようと、そこにいた少し年長の店員さんに「どんなお味なのですか?」と聞いたら、「甘じょっぱいんです」と。それですぐ想像できましたが、そういえば今「甘じょっぱい」って若い方言うかなぁ~と思いつつ買って食べたら、チーズの塩気にクリームのほろ甘い味がうまくマッチした、「甘じょっぱい」お味で人気が伺えました(関係ないかぁ~)

FAST! 知ってることが大事!

FAST!

朝テレビでやっていたので、慌てて見ました
このFAST 実は20年以上前から待合室の、患者さんが良くご覧になる新刊本の横に、目立つようにファイルで置いといたものでした
脳卒中の気配に気づく「サイン!」です

F →face  お顔のゆがみ

A →arm  腕
      両手を前に出し、どちらかの腕が下がらないかどうか
      

S →speech  スピーチ・ろれつが回らない
            言葉が出てこない・・などないか

T →time   時間  ①上記FASTの症状が見られれば、少しでも早い 
          対応が必要です
          躊躇せずに救急車です→その際、
          ②もう一つの「タイム」
          ★その症状が ”起きた時間のメモ” があると
                                    救急処置に大いに役立ちます

このような文面で、大きく書いたファイルを、どの新刊本より目立つ様においておきました。「変な歯医者ねぇ」とよく言われましたが「知っておくと、存外役立つことってある」が院長の口癖でした。特に脳卒中の類や、くも膜下出血では時間が勝負です

当院では、禁煙支援活動もしておりましたから、喫煙は脳卒中のリスクの一つでもあるので、皆様がちょっとでも知って、頭の隅にあれば・・と思っての事でした。お役に立つことなく、緊急性がなければそれに越したことありません
久しぶりにテレビで見て、「アッ脳卒中のFASTに違いない」と思い老婆心ながら書くことにしました

番組では、お一人住まいの方が救急車に電話しようにも、「119」が出てこない方・・の例も紹介され、日ごろ傍から携帯を離さずにとも言ってました

又、「仮面高血圧」の方も居られるので、血圧を自宅で測る際、座って測るほか、立って測ることもして、比較下さいとも言っていました、違いがあるんでしょう、その違いに日頃のサインがあるんですね・・

又★自分で小さいカードに、名前・生年月日・緊急連絡先・治療中の疾患・服薬・アレルギーの有無を書いて、お財布に入れておくのはどうでしょう?と医療者からの提案もありました、役立つこと大なり!★救急安心カードですと

ストレスフルな昨今にこの寒さ、しっかり食べて水分もとられ、睡眠を十分とって、体を労わってやりましょう

★★令和7年2月、急な寒さと地方によっては大雪の現在。あちこちの番組でヒートショックや、脳梗塞のサインなどやってましたので、このブログも再々掲載させて頂きました

・令和6年も再掲載しました(令和5年初掲載でしたが、梅雨が明け再びの猛暑に他局でも再び「FAST]やっていましたので再掲載させていただきました
救急車どうしよう・・と躊躇せず、#7119に電話!と案内されていました)

料理を哲学する

最近何かと話題提供の、料理研究家の土井善晴さん

「こんなんでいいの?」という意見もあると聞くが、土井さんだからこその「今の料理の提案」がすこぶる小気味よい

先日JーWAVEでのやりとりが紹介されていた
大学生からの質問「最近は指示さえすれば機械でも美味しいご飯ができます。作り手の気持ちはどのように味に影響するのでしょうか」に答えて・・
「私はね、気持ちが荒れているとあとから反省する食べ物ができてしまうんです。素材ゆうのは触れば触るほどストレスがかかる。丁寧ゆうのは時間をかけることではなくて、素材をいたわって料理をすれば随分違うものになるんです」

移ろう自然の、小さな変化を感じ取る日本人の心の話。和食とは何か、正月料理に見る「ハレとケ」、盛り付けの哲学など扱うテーマは多彩。「人間は賢いから料理したんと違うんです。料理をして人間になったんです」など含蓄ある言葉が心を刺激する・・と、相方のステキなクリス智子さんのフォローとともに、卵を溶く音、てんぷら油のカラッとした揚げ音、ボトルから水を注ぐ音が響く中での会話。想像するだけで、美味しそうでステキ!
料理を作る、食す人の心のありようをきちんと、しかし肩肘張らずに伝える番組と好評のようです
父上は日本料理、家庭料理の真髄を、善晴さんご自身もフレンチも極めてらしたからこその歯切れよい言葉は、普段のご飯を、限りなく、シンプルに美味しくするような気がして、つい関西弁につられて聞いちゃいますね

料理を通じて生き方論みたいでもあるようですが「社会で本当にエライ人も、台所では新人と思って心がけて下さい。わきまえることを知ってもらえたらいいわ」「優しくないとおいしいものはできないよね」って言いきっちゃうのが凄い

幅広いリスナー層の中で、意外にも10代、20代からのメッセージが多いとのこと、いいじゃない・・いいじゃない
丹精込めた一品をじっくり味わうがごとく、心で言葉を味わう楽しみが人気の理由かもしれないと伝えています
毎日のご飯、気持ちよくつくって大事にしよう・・っと、あらためて思います

4日は世界対がんデー

折々のことば 3329

       傷ついた人にはあらゆる人が遠ざかっていくように見える
                            安克昌

救護する側もされる側もみな傷ついている被災現場では、傷を負っていない外部の人が訪ねてくれることが大きな意味をもったと。阪神・淡路大震災時、現地で精神医療にあたった精神科医は言う。「見捨てられていない」と安心できたから。実際、被災直後は他府県のナンバープレートを付けた車を見るだけで心を熱くした被災者は多いと。
               ”心の傷を癒すということ” より

歌会始の儀「夢」

天皇、皇后両陛下に、皇族方も陪席された想像もつかない優雅な「歌会始の儀」
今年のお題の「夢」を詠まれた、新聞で紹介された一般入選者の歌が、それぞれにとても心に響きました

マエストロ小澤の夢はぐくみて楽都となれり山岳の街 
                  長野県 金井寛さん(77)

「戦争」の対義語は「夢」生徒らは班学習で言葉を探す 
                  新潟県 大堀みきさん(65)

まだ夢を見るのだらうか議事堂の壁に隠れたアンモナイトも 
                  埼玉県 吉田光男さん(60)

カーテンをあなたがあけて文鳥とわたしが同時に夢からさめる 
                  埼玉県 川崎ななせさん(31)

「実際に叶う程度にしておけ」とそんな夢など見たくないのだ
                  東京都 村木睦さん(23)

ペンだこに薄く墨汁染み込ませ掠れた夢と言う字を見てる
                  宮崎県 森山文結さん(16)

それぞれに情景が目に浮かび、一瞬別世界に飛んでいけるようで、圧倒されます。お若い方の瑞々しく大きな気持ちの吐露にハッともし、懐かしくも、いいなぁ~と羨ましく何度も文字を追いました・・

朗々とご披露される空気まで伝わって、不思議な幸福感にひたらせて頂きました

 

新年、脳トレはじめ・言いにくい言葉③  

懲りずに③・繰り返すと言いにくい言葉 です
(5回以上繰り返すと効果ありだそうです)たまげた!

・キツツキ ・狂牛病 ・午後5時55分55秒頃
・駒込 ・赤坂サカス ・炙りカルビ ・生ナマズ ・右目右耳
・肩たたき機 ・交響曲・歌曲・協奏曲

これで、新年早口言葉の猛ダッシュは終わり!です
継続は真なり~🌸(笑)お疲れさまでしたぁ
今年も皆様にいいことありますように
笑う門には福来る~!

 

小さな空   佐野成宏さん急逝の報を受けて 

小さな空  武満徹 作曲・作詞

青空みたら
綿のような雲が
悲しみをのせて
飛んでいった

※いたずらが過ぎて
 叱られて泣いた
 子どもの頃を憶いだした

夕空見たら
教会の窓の
ステンドグラスが
真赤に燃えてた

夜空をみたら
小さな星が
涙のように
光っていた

※くり返し

この歌をいつも歌って下さっていた、テノール歌手の佐野成宏さんが10日急逝されました。毎日宝物の彼のCDかけては涙が止まりません、エストレリータ、忘れな草・・。「あなたが好きだったのはA Vucchellaでしょ?」と知り合いに言われまた涙。
2000年、日野原先生の癒しと安らぎのフォーラム開始前、会場に流れる素晴らしい光り輝く歌声に圧倒され、受付け手続きも忘れて「このイタリア語も美しい歌手の方は、どなたですか?」とお聞きしたのが佐野成宏さんとのご縁の始まりでした。初めて追っかけのファンになりました
歌声だけでなく、お人柄にも惹かれるもの大なりでした。毎年お正月は、佐野さんのプライベートコンサートで、夫婦二人して心もうきうき幕を開け、日本に一台という縞模様のファツィオリのピアノとこの床は最高ですね・・と目の前で歌って下さる贅沢な時間でした。今年も豊かな良い年になりますように、と心新たにしたものです

経済大学で合唱していた時に、小林研一郎さんのお目に(お耳に)とまり、本格的に音楽への道に進まれました。その小林研一郎さんがピアノ弾かれ佐野さんが歌った夢のような日もありました。その日のLa danzaはすごくて腰抜かしました、たしか頼近美津子さんが司会をなさいました
そして、2009年和光市関係者のご理解ご協力、地元三師会、友人のお力拝借して、和光市サンアゼリア大ホールに、佐野成宏さんをお呼びすることが出来ました。オペラファンの方や、たくさんの皆様が佐野さんの光り輝くテノール・リリコを聴いて下さいました。患者さんの中には、マイク使わない声ってすごいんですね!と、小さいお子さんもご一緒に楽しんで下さいました
皆さまその節は有難うございました

その後ご出身地・駒ケ根で後進のご指導の為、町あげてのご協力を得て音楽コースも開かれ、東京音楽大学でも教えていらっしゃいました。いつでしたか?池袋でバッタリお目にかかったのが最後となりました

残念過ぎて言葉もなく、ただただ、光輝く美しいテノールを聴かせて下さってとても幸せな時間を頂戴したこと、あったかい方々がいつも佐野さんの周りにはいらしてご縁を頂戴したこと、そしていつもいい気持ちで聴かせて頂いて、それはそれは豊かな時間を頂戴したこと、あらためてお礼申し上げたいと思います。

ありがとうございました。佐野ちゃん♪
またお目にかかりましょう

 

新年、脳トレはじめ・言いにくいカタカナ言葉②

前回に続き言いにくい言葉シリーズ、お口まわりの筋トレと脳トレです
今回は②言いにくいカタカナ言葉、それ~っ!頑張って!

・ゴルバチョフ書記長 ・マサチューセッツ工科大学 
・シミュレーションシステム
・スリジャヤワルダナプラコッテ(スリランカの首都)
・エゾスジグロシロチョウ(シロチョウ科の蝶)
・メガスケパスマエリトロクラミス(中南米の原産の花)
・パキケファロサウルス(白亜紀の恐竜)

知らない言葉ばかりで、4番目のエゾスジグロシロチョウ迄はなんとか発語出来ました💦

偉そうに書いてますが、ここに書き出すだけでこちらも降参
ア~ッ疲れる~!
だけども頑張ってみましょうかね!

まるで地下鉄「遠回りな神経」の教訓

のんびりいいご気分のお正月、年明けは早口言葉でスタートしました。しかしながら新年早々今年もお餅の事故のニュース、「誤嚥」という言葉も随分知られるようになりました。
そこで誤嚥にも関係する「反回神経」→遠回りな神経!のいいお話し見つけたのでご紹介します

・まるで地下鉄「遠回りな神経」の教訓
私たちはとかく遠回りすることを嫌い、「効率」を重視し追い求めます。地図アプリを駆使し最短ルートを見つけ出そうと躍起になるのが常です。最短距離とは、現在地と目的地を直線で結んだルート。しかしそのような理想的な道路や鉄道は存在しません。とりわけ東京の地下鉄路線は迷路のように複雑で、駅によっては乗り換えに思いのほか時間を有します

こう考えていると脳神経の一種で、喉の筋肉を動かす役割りを担う「反回神経」を思い浮かべるのです。なぜ「反回神経」という名がついたか?それはこの神経が驚くほど遠回りな経路を辿っているからです。
脳と喉は10㌢ほどしか離れていないのに、反回神経はなんと胸部まで伸び、心臓付近の血管を巡ってから、Uターンして喉に戻ってきます、非効率極まりない配線です。なのでこの神経が正常に機能しないと、声が嗄れたり、呼吸困難や誤嚥と言った深刻な症状を引き起こすのです。

謎めいた反回神経の経路の秘密は進化の歴史にあります。
反回神経は、原始的な魚類だった頃に、鰓(えら)を制御するために発達した神経。脳と鰓は、どちらも心臓の近くに位置し、両者を直線で結ぶと、心臓から出た血管の後ろを通ることになります。ところが生物が進化するにつれて、脳は徐々に大きくなり、これに伴い脳と喉は心臓から離れていきました。もはや後の祭り。反回神経の奇妙な経路は、まるで東京の地下鉄の経路のように今日まで受け継がれています、

ヒトの体はまだましで、首の長いキリンでは、更に悲惨なことになっていて、キリンの反回神経の長さはなんと5㍍にも達します。よくキリンが水を飲むシーンで前足を横にぐーっと広げて首を水面に近づけて飲む絵をご覧になった方も居られるでしょう、不自由そうですよね。首の長い恐竜においては事態はより深刻で、反回神経は28㍍だったそうです。想像できませんね・・。

話が飛び過ぎました。そういうわけで喉の筋肉を動かす反回神経の遠回りな経路を知ったら、我々生物は、必ずしも効率的に設計されているわけではないと理解して、うまく機能するようにちょっとの工夫や努力がいるようです
          脳研究者・池谷裕二の「全知全能 連載76」より

感謝の特等席

昨年暮れ、ノルウェー・オスロで開かれたノーベル平和賞の受賞式に出席した、日本原水爆被害者団体協議会の代表団のニュースは、皆様ご存じでらしたと思います。ご高齢の皆様が行きの長旅にもかかわらず、立派なご挨拶をされ、時折原稿を修正なさりながらの見事な演説に、心揺さぶられた方も多かったのではないでしょうか・・

その授賞式に向かわれた被団協の80~90代の代表委員3人が行きの便でエコノミークラスだと知った、長年客室乗務員を務める方が「ハードなスケジュールの中、分刻みで動いてきた高齢の方々にとって、10時間以上のフライトは大変だ」と帰国便の担当となった折、帰りもエコノミークラスと知り、ビジネスクラスに少し空きがあることを知って、初めて最高責任者に直接メールを送ったそうです。「高齢の方たちなので、何とかなりませんでしょうか」
帰国直前にCEOに送ったメールに返信も期待していなかったが、程なくメールが帰ってきて「素晴らしいアイディアだと思う。喜んでサポートします。搭乗者の名前を教えて欲しい」帰国便で3人はビジネスクラスになった・・
長年客室乗務員勤めるこの方は、母親の戦時中の疎開体験を聞いたり、被爆地の長崎を訪れて被爆の実情を見たりしてきた
「苦しい思いをされたにもかかわらず、一生涯かけて活動を続けてこられた」

北欧から羽田に到着したスカンジナビア航空(SAS)の機内に、13日朝、伝えたかった気持ちを到着時のアナウンスに添えて日本語で読み上げたそうです

「苦しい思いをされたにもかかわらず、これまで生涯をかけて行ってきた、そしてこれからも続けていくであろう貴重な活動に対し、深く感謝すると同時に、核兵器も戦争もない平和な世界が一日も早く訪れますよう、心よりお祈り申し上げます。これからも平和への声を上げ続けて下さい。乗務員一同皆様のご健康とご多幸をお祈り申しげます」
機内は温かい拍手に包まれた・・とありました
到着ロビーに車いすで出てらした方もおいででした。長いご活動に感謝と尊敬の心あふれ、きめ細かい機に敏なご対応に拍手するとともに、記事を読んでこちらもあったかい気持ちになりました。ステキなお話伺いました。

折々のことば 3280 器量

器はまだ空っぽなのに、期待というものがすでに盛られているのを感じます
                           石垣りん

瀬戸物売り場をのぞいていると、何かを誰かと食べる情景を想像し、心が浮き立つと詩人は言う。土が焼かれて品になるところが、焼かれて土になる人間と逆コースながら似ていて、肌身に近いところがあるし、人の徳分や、みめかたちを表す語が「器量」であることも面白いと。人の器量はその容量に表れ出るらしく、「懐が深い」ともいう。随筆集「焔にてをかざして」から

 

新年、脳トレはじめ・言いにくい言葉①

あけましておめでとうございます
本年も、それなりに楽しく、面白がっていきたいと思います。時には真面目に・・です。宜しくお願いいたします。

さてさて、ゆったり9連休の方もいらっしゃるとか?寛がれてることでしょう
お口元、ダラリンとしていませんか?お腹の周りもぷっくりダラリンとしてませんか?お口まわりのストレッチは、腹筋も使うので、何かと宜しいようですよ
まぁ聞いて下さい。口だけ動かせばいい(らくちん)脳トレです。

最近会話の途中でよく”かむ”ようになったあなた、原因は口や舌の筋肉や脳の衰えらしいです。放っておくと認知機能やらに影響する可能性も言われています、大変大変・・!
そこで!おすすめするのが、以前よりここでもご案内している”早口言葉”です
食べて飲んでばかりいないでぇ~!ごろんごろんしてないでレッツ・トライ!

☆彡言いにくい熟語

★老若男女 ★手術中 ★骨粗しょう症 ★生活必需品 ★来場者数 
★取捨選択 ★事情聴取 ★高所得者層 ★派出所 ★初出場 ★魔術師
★著作者 ★車窓清掃 ★新車車両 ★消費者庁 ★古美術商 
★商標法違反 ★環境保護規制法 ★地域経済活性化政策 ★営業所所長職務
★左折専用車線 ★消火装置設置業者 
★高架橋橋脚下(こうかきょうきょうきゃくした)

おいしいお餅や、普段より噛み応えのあるおせち料理の数々のあと、いじわるな早口言葉では顎(あご)が更に疲れますよねェ~!
懲りずに頑張って発音していると、早口言葉も出来るようになります。動かさないと動かない、ダラリンちょ!の口の周りの筋肉をウエイクアップ!!

今年もお元気に、「笑う門には福来たる」
デーケン先生流に「にもかかわらず笑う!」🌸
面白がってまいりましょう!

巳年ですから、脱皮~!
ダッピイー・ニュー・イヤー!?

折々のことば 3282

「あそこに仮設住宅が建つのに、なんで3カ月から6カ月かかるの?大学の先生だったら来週建ててよ!」 宮城県石巻市の小学生

東日本大震災後に訪れた避難所で小学生にこう問い詰められ、建築家・北川啓介はそれを機に短時間で組み立てられるインスタントハウスの研究に取りかかった。美しい建築よりも先ずは子どもらの想いに応えるものをと。能登半島地震の際も、行政の要請も待たずに現地入りし10棟設置したという。ホームページ「北川啓介研究室」から。2024・12・3

子どもの素直な声に聴く耳もって、応えようとする方がいる。なのにああじゃないこうじゃない・・と妙な段取りや、つまらないメンツやらなにやら、理解しがたいものが右往左往する国日本。イザッという時に動けるようにするには、普段の生活にもっと目をとめ、実情をよく見て、子どもの素直な声にも耳を傾け、頭やわらくして考え対応する大人でないといけないなぁ・・

そう言えばかつて日医大の癒しの環境研究会で学ばせて頂いていた時、阪神大震災の時だったと思うが、初めて「段ボールベッド」が紹介され、皆驚きを持ってウエルカムしたものだった。今ではかなり普及していると聞くも、被災地の様子を伺うと相変わらず体育館の冷たい床にごろ寝してらっしゃるのを散見する。急な災害に遭遇して、寝る所もままならない様子を目にするたび、この小学生の見つめる目を!声を!真摯に受け止めないといけないと強く思い、このような点に最初に光を当てる国であってほしい、ありたいなぁと強く思う

もうすぐあのお元日の地震から一年になる。続いての水害。被害にあわれた方々の生活の再建が進まれんこと、ご家族のご健康、安寧を願わずにいられない

思いつき、つぶやきの数々、この一年も拙い文におつきあい下さり有難うございました
寒さ増します折、インフルエンザも流行っております。どうぞ皆さま、おからだ専一になさって、良いお年をお迎えくださいませ
皆さまのお幸せと安寧を、お祈り申し上げます

 

チンパンジーも人の目を気にする?

この6月28日「オランウータン薬草使い治療?」とスマトラ島に住む「ラクス」というオランウータンが自ら薬草を使い顔の傷に塗って治療する話を紹介しました

そしたら今度は、チンパンジーが多くの観客が居ると、能力を高く発揮したり。逆にミスを連発したりするらしい、と京大ヒト行動進化研究センターのチンパンジーが、数字課題に挑んだ記録を分析した結果から判明したようです
普段から接している実験者が多いほど難しい課題では成績が上がったが、簡単な課題では成績が下がったとか

このチームの山本真也准教授は、「チンパンジーにも”観衆効果”が一定程度みられることを実証できた。今後探求したい・・と。

人間は観衆の存在によってパフォーマンスが大きく影響されることがある。多くの観客が詰めかけて野球場で、調子を上げる選手もいれば、逆にプレッシャーに負けて力を発揮関内選手もいる、これが「観衆効果」

人間に一番近いチンパンジーでも観衆効果があるかを調べるため、6頭のチンパンジーが2009年から2015年まで数字課題に挑んだ計9219セッションの成績と、その時の見学者の種類や数との関係を分析しました結果、最も難しい課題では、チンパンジーにとって最も近い存在である実験者の数が多いほど、正答率が向上したそうです。

一方、最も簡単な課題では、実験者が多いほど、正答率が下がった、実験者が一人増えるごとに正答率が6~11%低下する計算となった
見知らぬ見学者に対しては、成績に統計上の変化は見られなかったそうです

「人間の場合、仲間内に見られていると、自分の評価が気になる、チンパンジーも顔見知りか見知らぬ人かを見分けていて、何らかの心理的な変化が起こったのかもしれないとと推測しているとのことです
観客多いと能力発揮したり、ミス連発したり・・、仲間内に見られていると自分の評価が気になる・・親近感ありますねぇ

そんなぁ・・

笑っちゃう話をふたつ・・(ある新聞の投書)

☆彡英語の英
友人の英子さんが電話で住所と氏名を聞かれたとき、「えい子はどんな字を書くのか」と尋ねられ「英語の英です」と伝えたところ、しばらくして送られてきた宛名を見てビックリ!
「A子様」となっていた(笑)大阪府76歳→笑っちゃいますね。しかしながらまず今の世の中怖いですから、やたらに電話で教えちゃダメです。これ大事!

☆彡「ま」抜け
街路沿いの花壇に「すいません」と書かれたプレートが刺さっていた。何を謝っているのか、とよく見ると「すいせん」だった。奈良市・25歳→すぐ視力検査を

 

ことばあそびうた🌸また

谷川俊太郎さんの詩・瀬川康男さんの絵・福音館書店刊です

かってくった

いたかったら
いたかった
いたくったが
いたくはなかった

かゆかったら
かゆかった
かゆくったが
かゆくはなかった

うまかったら
うまかった
うまくったが
うまくはなかった

くさかったら
くさかった
くさくったが
くさくはなかった

 

ほっとけ    いつかご紹介済みのをもう一度

いけはほっとけ
こけははっとけ
たけはきっとけ
おけはおいとけ

つけはほっとけ
ふけはとっとけ
はけはほしとけ
かけはまけとけ

ごけはほっとけ
みけはかっとけ
さけはさけとけ
やけはやめとけ

     もう、ほんとに!フフフ・・

リハビリは人間の尊厳の回復である・多田富雄さん2006年

この9月に折々のことば3088・多田富雄さんの言葉を紹介しました。その中に、以前私たちが予防歯科発会の折、基調講演として免疫の第一人者でおられた多田富雄先生の難しいお話しに戸惑いながらも、「サイトカイン」という言葉だけは覚えていて、先ごろのコロナ蔓延でサイトカインストームという言葉に触れ、「あの時のあれだ!」と感じ入ったと書きました。またその後多田先生は脳梗塞患われ、専門部署にご意見申し述べたことを知りその内容知って尊敬申し上げたとも書きました。その記事が見つかったので遥か18年前のものですが、ご紹介したいと思います

・診療報酬改定、リハビリ中止は死の宣告  多田富雄 東京大名誉教授         2006年朝日新聞オピニオンより

私は脳梗塞の後遺症で、重度の右半身まひに言語障害、嚥下障害などで物も満足に食べられない。もう4年になるが、リハビリを続けたお陰で、何とか左手だけでパソコンを打ち、人間らしい文筆生活を送っている。

ところがこの3月末、突然医師から今回の診療報酬改定(2006年)で、医療保険の対象としては一部の疾患を除いて障害者のリハビリが発症後180日を上限として、実施できなくなったと宣告された。私は当然リハビリを受けることができないことになる。
私の場合は、もう急性期のように目立った回復は望めないが、それ以上機能低下を起こせば動けなくなってしまう。昨年別な病気で3週間ほどリハビリを休んだら、以前は50㍍は歩けたのに、立ち上がる事すら難しくなった。身体機能はリハビリをちょっと怠ると瞬く間に低下することを思い知らされた。これ以上低下すれば、寝たきり老人になるほかはない。その先はお定まりの衰弱死だ。私はリハビリを早期に再開したので、今も少しづつ運動機能は回復している。

ところが、今回の改訂(2006年)である。私と同様に180日を過ぎた慢性期、維持期の患者でもリハビリに精を出して居る患者は少なくない。それ以上機能が低下しないよう、不自由な体に鞭打って苦しい訓練に汗を流しているのだ。そういう人がリハビリを拒否されたら、すぐに廃人になることは、火を見るより明らかである。今回の改訂(2006年)は、「障害が180日で回復しなかったら死ね」というのも同じことである。実際の現場で、障害者の訓練をしている理学療法士の細井匠さんも「何人が命を落とすのか」と3月25日に書いている。ある都立病院では,約8割の患者がリハビリを受けられなくなるという。リハビリ外来が崩壊する危機があるのだ。
私はその病院で言語療法を受けている。こちらはもっと深刻だ。構音障害が運動マヒより回復が遅いことは医師なら誰でも知っている。1年経ってやっと少し声が出るようになる。もし180日で打ち切られれば一生話せなくなってしまう。口蓋裂の子どもなどにはもっと残酷である。この子らを半年で放り出すのは、一生喋るなというようなものだ、言語障害者のグループ指導などできなくなる。

身体機能の維持は、寝たきり老人を防ぎ、医療費を抑制する予防医学にもなっている。医療費の抑制を目的とするなら逆行した措置である。
それとも、障害者の権利を削って医療費を稼ぐというなら、障害者の為のスペースを商業施設に流用した東横インより悪質である。

何よりも、リハビリに対する考え方が間違っている。リハビリは単なる機能回復ではない。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復である。話すことも直立二足歩行も基本的人権に属する。それを奪う改定は、人間の尊厳を踏みにじることになる。そのことに気づいて欲しい。
今回の改訂によって、何人の患者が社会から脱落し、尊厳を失い、命を落とすことになるか。そして一番弱い障害者に「死ね」と言わんばかりの制度を作る国が、どうして「福祉国家」といえるのであろうか。

以上2006年4月8日朝日新聞オピニオンより
多田富雄 1034年生まれ。医学博士(免疫学)「生命の意味論」「独酌余滴」   等著書多数。

脳梗塞の後遺症と闘いながら、ご自身だけでなく人々のことを考え、人間の尊厳に言及し、国の策を憂いてこのような発信なさったことに頭を垂れます
この20年近い間に、病に伏す方々に光は当たるようになったのでしょうか?先日引用しご紹介した「医のアート」にも、医療はプリンシプルと現実のハーモ二イ、かみ合い。プリンシプルを立てる。そのプリンシプルを適用する時はいつもインディビジュアル(個別的)と1997年日野原先生、犬養道子さん共著の本にもありました(先月23・24・25日ご紹介しました)

体幹の大事さ みんな共通

長野五輪メダリストの清水宏保さん
最近はパラアスリートの方々との交流が増えてらっしゃると聞きます。今年のパリパラオリンピックでの選手の皆さんすばらしかったですね。深夜の放送でしたが時間忘れて応援してしまいました

清水さんおっしゃるには、体をひねることで、スピードやパワーが生まれるそうです。パラのトップアスリートは、手や足の動きが不自由なことが多い分、このひねりへの意識が高く言い方を変えると、体幹が強いのだそうです

体幹の強さは、パラアスリートだけでなく、健常者にも必要です。それはアスリートに限ったことではありません。一般の方にも、そして高齢者にも必要だと言っておられます
体幹と言うと、腹筋をイメージする人が多いと思うが、清水さんが大事だと思うのは、肋骨と肋骨の間にある肋間筋だと

椅子に座った状態で、自分の体ななめ後ろに45度ひねってみて下さいと。
その時に引っ張られる感じがするところが、肋間筋だそうです。あばら骨の間に筋肉があるそうです。多くのパラアスリートの活躍の秘訣は、ここにありそうだとおっしゃっています

この筋肉を鍛えると、たとえば転びそうになった時、バランスをうまくとれるようになります!の言葉に私も刺激されました。座った状態で出来るので、気楽にできそうです

パラアスリートを知ることは、高齢者の方々に分かりやすく体の使い方を伝えるヒントになる、そんなことを気づかされていますと言う記事に、アスリート清水さんのやさしい眼差しを感じました。これならやれそうです
「転んだら終わりよ!」私のそんな毎日に、いいこと伺いました♪
やってみましょう!

一生懸命だと

一生懸命だと 知恵が出る

中途半端だと 愚痴が出る

いい加減だと 言い訳が出る

そうだった・・そうだった、わかっちゃいるけどなんとか・な私
そう言えば、前にもここに同じ事書いたかも・・💦(言い訳)

「死んだ男の残したものは」谷川俊太郎作詞・武満徹作曲

11月13日亡くなった谷川俊太郎さんに、詩人の伊藤比呂美さんがその魅力を語っている。谷川さんの詩はわかりやすいと言われるが、読み終わった時に人間の本質的なもの、暗いものに気付かされることが魅力と

そんな谷川さんの詩は、多くの作曲家にに手渡され、メロディ―となって羽ばたいた、その中で、故武満徹さんが曲を付けた「死んだ男の残したものは」は、20世紀を刻印する稀代の反戦歌となった。「すぐに曲をつけて欲しい、明日の市民集会で歌えるよう」。谷川さんの想像力は、無辜の命が奪われている「いま」を起点に飛翔し、国も時代も超えた普通の祈りへと到達した
詩は、六つの連からなる

死んだ男の残したものは
ひとりの妻とひとりの子ども
他には何も残さなかった
墓石一つ残さなかった

死んだ女の残したものは
しおれた花とひとりの子ども
他には何も残さなかった
着物一枚残さなかった

死んだ子どもの残したものは
ねじれた脚と乾いた涙
他には何も残さなかった
思い出ひとつ残さなかった

死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった(続く)

「残さなかった」から「残せなかった」へ。個の意思を奪い、すべてを虚無とする。これが戦争の本質なのだと「さ」と「せ」のたった一文字の違いで語り尽くしてみせた。最も大切なものを失った人の痛みを、どう自分事として感じるか。谷川さんの永遠の自問に、様々なジャンルのアーティストたちが連なり、この曲を歌い継いだ。そうして谷川さんは、世界に壮大な連詩を築いた。私たちはいま、それを未来へと手渡す言葉を持ち得ているだろうか、と谷川さんを偲びつつ、伊藤比呂美さんは投げかけておられる・・

再び、武満とのCDをかけてみる。谷川さんの言葉にいつも触れさせていただいた幸運に心から感謝しつつ、伊藤さんの言う未来へと手渡す言葉を持ち得ているだろか?という問いかけに、戦禍を伝える毎日の新聞記事見ながら立ちつくしてしまう・・
ここ数日ニュースで流れる、神宮の銀杏の黄色が青空にきれいすぎる映像に、未来へと手渡す言葉・・、ないがしろにはできない

ひとはどう生き、どう死ぬのか 日野原重明・犬養道子「医学はアート」③

②より続く(以下犬養道子氏・日野原重明氏 以下敬称略)

日野原・それを科学が補強するんです。それで、ウイリアム・オスラーがいったことは、「メディシン・イズ・アン・アート・ベイスド・オン・サイエンス」。医学はサイエンスに支えられたアートであるといったのです。論文を書く時にはどうしてもサイエンスが前面に出ないと格好がつかないから、論文ばかり書くのに熱中してると、臨床が出来ない医者やナースができてしまうことになる。そのときには、ケアがおろそかになってしまうんです。

犬養・英語にビー・ケアフルという言葉がありますね。

日野原・ええ。

犬養・ケアフルというのは、たとえば、子供相手にだって使うわけでしょう。ケアという言葉は、この聖路加看護大学の新館の磁石に書かれている言葉に通じるものでしょう。「愛」というとちょっと日本人にはピンと来ないかもしれないけれど、昔の言葉でいえば「御大切」なのよね。切支丹は「愛」を「御大切」と呼んでいました。

日野原・そうですね。

犬養・他人さま(ひとさま)に対しての「御大切」ということを考えれば、全部ケース・バイ・ケースになりますね。そこに一つのプリンシプル(原則)も通る。むしろプリンシプルの上に立つ、といった方が良いと思いますが、プリンシプルと現実との二つのハーモ二イというか、かみ合いでしょう。これが、いつか、いつの時代でも私は、人間のリアリティだと思います。

日野原・プリンシプルを立てる。そのプリンシプルを適用するときは、いつもインディビジュアル(個別的)。

犬養・そのとおり。

日野原・人によって違う、相手によって違う、時期によって違う、タイミングも違う。例えばガン患者にインフォームド・コンセントを得る時にも、何でもすぐにほんとうのことをいうのではなく、その人が受け入れられる態勢にあるかどうかをよく打診した上、タイミングよく情報を与えるに適切な表現の言葉を考える必要がある。

犬養・そうそう。

日野原・しかもステップ・バイ・ステップなんです。そういうことを考えることがアートの中に入って来る。

犬養・そうです。それがアートであるためには、その人がやっぱり人間としてまず成熟しなくてはいけない。

日野原・ところが、いま、日本でお医者さんになる医学生の入学選考には、偏差値のことばかり考えなければいけないから大変なんです。教養(リベラル・アーツ)をなくし、楽しい若い日の生活を犠牲にして進級させているところが多いのです。高校をでて、医学校に入って、二年、それから四年の、六年勉強しなければならない。
アメリカは、リベラル・アーツでもサイエンスでもいいから、何でもいいから大学を出なさいとなっている。出てから本当に医療にいきたい人は医学に進めばいいのです。医学はすべての教養がすんでから。
日本で医学部に入った若者には、ヒューマン・タッチなんかまるでわからないですよ。だけど、いま日本でも、自分はソーシャル・ワーカーになって病院にいったけど、お医者さんの行動を見て、やっぱり医者になりたいと思って医学部に入るとか、小学校の先生をしてたけど、医者になりたいから医学部に入るとかの人が出てきた。大人になってから医学をやりたいという方が本物かもしれないですね。ハーバードの医学校に入る学生は、みんなちょっと歳が言ってるんだそうです。そういうキャリアのある人を面接で医学生としてとるというんです。そのような受験者には動機づけがあるから。

犬養・ベッドで寝ている、苦しんでる人の事はわからない、人間的に成熟しないかぎり。
欧米が全ていいというのではないけれど、自分の体験からして、日本はもっとアメリカとかヨーロッパのやり方を謙虚に取り入れる必要がありますね。それは崇拝とか西欧一点張りとかとはまったく違います。アメリカ・ヨーロッパには、もっとヒューマンなものがあるのですから。

日野原・そうです。

犬養・もし人間としてのタッチがあるならば、この人の御一生というものを御大切にして、死期が迫っているということをどういうふうにいうかを真剣に考えることができる。一人の人の一生のけじめをつけてあげる。そのときにはモルヒネを使っても言い、家に帰してあげてもいい。

日野原・患者を介抱するとはどういうことかを、正岡子規が「病床六尺」に書いています。「看護とは」「介抱とは」と書いているんです。精神的看護と形成的看護の二つがある。精神的な看護がないと、形式的だけではだめだと正岡子規は書いているんです。それから、夏目漱石も「思ひ出す事など」の中に、「私は昼、夜を通して看護をしてもらって、吐血から助かった。私は病むことによって生き返った。これからは善人になろうと決心した」というようなことを書いているんです。

犬養・いい言葉ですねぇ。

日野原・ケアをうけた病の体験が漱石を変えたんですね。こんなに若い女性が自分の介抱のために挺身してくれたということに感動して居る。
それから、そういうケアのことは福沢諭吉も「教育論」の中に書いています。

以上「人はどう生き、どう死ぬのか」第一部・医学はアートより抜粋・日野原重明・犬養道子著 1997年発行岩波書店

ひとはどう生き どう死ぬのか 日野原重明・犬養道子「医学はアート」②

①より続く(犬養道子氏・日野原重明氏 以下敬称略)

日野原・日本においては特にそうですよ。これは医学の専門家が一般の人々や患者に情報を提供しないから批評が出来ないんです。ところが、芸術は聴いた人や見た人のアートの批判力が育つような雰囲気が出来てきたわけです。だから、私はいまの日本にもう一度医術を、すなわち医の臨床のアートが一般の人から批判を受けて、そのことで医術を進歩させたいのです。
さて、医の臨床の術には、その基礎にハイサイエンスとハイテクノロジーの科学が必要です。そこで病む人間にサイエンスとテクノロジーをどうタッチさせるかという技がアートなんですよ。ところが、いまは、タッチをしないで、サイエンスとテクノロジーをとにかく患者に与えればよいとなっている。誰にでも同じことを無差別に与えるような乱暴なことをして、受ける人がどんなフィーリングを持つかということを考えない。うけ手の事情を考えないで、ただただ与える。

犬養・いま、先生はタッチと言う言葉をお使いになったけれど、もっと単純な日本語で言うと「手当」ですよね。

日野原・はい。そう。

犬養・そして、手当てをするときには、相手がやけどをしている人とやけどをしてない人では、手の当て方が違う。

日野原・そうです。

犬養・だから、非常に素朴な次元においても、日本にはさっきおっしゃったような考えはあったわけです。ところが、いまは「手当て」ではなくなってきているのではないかしら。

日野原・日本で「看護」という言葉の前にあったのは、「介抱」という言葉です。

犬養・そうそう。

日野原・まず「介抱する」という言葉があるんです。その介抱と手当てをどう英語に訳すかと言うと「ケア」なんです。看護婦さんがやる場合には、ナーシングケア、医者がやる場合にはメディカル・ケア。この「ケア」という言葉はまさに「テイク・グッド・ケア・オブ・ユア・セルフ」。あなた自身があなたの体をコントロールして、健康になって下さいと言うことなんです。そのケアという言葉は1920年頃から医療界に出てきました。
それまではそういう言葉はなかったのを、ピボディと言うボストンのハーバードの医学校の教授が、医療で大切なことは患者へのケアだということを「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という医学雑誌に論文書いたんです。それが最初。
ナースの方はそれからさらに遅れて、ナーシング・ケアという言葉が使われ始めた。日本では看護と言うと、看護大学の先生たちは、看護学と言ってくれと言うんですが(笑)、看護と言うのは、ケアそのものでしょう。

犬養・その通りです。「学」では困るんです。(③に続く)

 

ひとはどう生き、どう死ぬのか 日野原重明・犬養道子「医学はアート」①

1997年6月出版されたこの本は、当時衝撃的で、折に触れ開いては、ため息つきながら大事に読んで参りました、この本の企画は犬養道子さんが思いつかれたと日野原先生があとがきに書いておられます
ハイデッカーの言う「最期の死への挑戦」であり、老人にとっては、ヘルマン・ヘッセの言った「老いへの成熟」の姿だろうと。ここに取り上げられた問題のいくつかが、読者諸氏により、解決を早急に要する現実の問題として広く取り上げれればよいと思うとあり、特に医と医療をめぐる問題のいくつかが、深く掘り下げられて考えられ良い方向に変えられることを願ってやまない・・ともあります

僭越ですが、この中の第一部・医と医療をめぐる対話に「医学はアート」があり、その部分の抜粋を三回にわけてここにご紹介いたします。1997年のものです

医学はアート①(以下犬養道子さんは犬養・日野原重明先生は日野原と敬省略)

犬養・今日の対談のテーマではないのですけれど、「医と医療と医学」が総合して初めて「全人的」になると思います。そして、繰り返しになりますが、患者はみんなユニークな、個別的な人間であるということです

日野原・ヘルスと言う言葉は、古いアングロサクソンの言葉(古代英語)では、ホール(hal)からきてるそうです。halと言うのはwell(健康な)という意味です。それが中世ではhelthとなり、近代英語ではhealthとなったと言われます。またこのhalからwhole(全体)やholy(聖なる)という言葉がつくられたとのことです。ヘルスというのは臓器一つの事ではない、手の一本ではない。そこには全体がある。心と体を含む全体と言うのが、ヘルスすなわち健康の一番の語意なんです。
いま、あなたは、医と医療と医学と言われたんですが、日本でもともと一番ポピュラーだった医に関する言葉は医術です。医術は医のアートの事です。

犬養・そのとおりです。

日野原・医学部と言うための医学という言葉はあったけれど、医術と言うのが一般的だった。

犬養・術と言うのはいいですね。

日野原・そのうちに術を使わなくなって、医学一点張りになった。英語ではメディシンと言う言葉が最初にあった。薬もメディシン、医学もメディシン。さらにそれが科学的になってくると、メディカル・サイエンスと言う言葉ができてきた。それでもギリシャのころから、西洋には、医術と同じような言葉があって、それがアート・オブ・メディシンです。いや、正確に言うと、「アート・オブ・プラクティス・オブ・メディシン」。多くのアートがギリシャにあった、絵のアート、音楽のアート。医のアートもその一つだったんです。
アートは批評を伴うものです。音楽は批評され、絵も批評される。だから音楽や絵画は進歩する。音楽家のパフォーマンスも上手になっていく。

ところが、二千五百年前にギリシャの医術の祖と言われたヒポクラテスは、世の中には多くのアートがある中で、アート・オブ・メディシンが一番貧困だと言ったのです。なぜならば、他のアートは批評家を作ってきた。自分は弾かなくても、聞く耳を持ってる人がいた。これはすごい絵だと、見る目を持っている人がいた。そういう芸術はそれぞれ批評家を育ててきた。ところが、医のアートは、受診者にあまり情報を提供しなかったから、批評する能力のある人が育たなかった。それで医術の発展がプアだったと言ってるんです。

犬養・なるほど。

日野原・それが今でもずーっと続いてる。医療は何度も反省されてきたんだけれども、なかなか改善されない。日本においては特にそうですよ。(②につづく)

谷川俊太郎さん

真っ青な空に銀杏の黄色も美しい日に、谷川俊太郎さん死去のニュースが飛び込んできた。一昨日、月一回の書下ろしの詩が掲載され、読んだ私は胸騒ぎをおぼえたばかりでした・・

感謝

目が覚める
庭の紅葉が見える
昨日を思い出す
まだ生きてるんだ

今日は昨日のつづき
だけでいいと思う
何かをする気はない

どこも痛くない
痒くもないのに感謝
いったい誰に?

神に?
世界に? 宇宙に?
分からないが
感謝の念だけは残る   

     「どこからか言葉が」谷川俊太郎 11月17日朝日新聞掲載

 

・以前、このブログに武満徹のPOPSONGS、石川セリ歌唱のCDから「翼」ご紹介しました。そのCDには谷川俊太郎さんの「死んだ男の残したものは」「恋のかくれんぼ」「見えないこども」の他、この歌ものっていて大好きな一曲です。ご逝去を知って谷川さんのこの歌を辿りながら ファンとして私もたくさんの感謝を捧げたいと思います。

うたうだけ

むずかしいことばは
いらないの
かなしいときには
うたうだけ
うたうと、うたうと、うたうと
かなしみはふくれる
ふうせんのように
それが わたしの よろこび

なぐさめのことばは
いらないの
かなしいときには
うたうだけ
うたうと、うたうと、うたうと
かなしみはふくれる
ふうせんのように
それが わたしの よろこび

アゲハの遺伝・10歳の昆虫博士の話

びっくりしたぁ~と言うより、たまげた!というのがふさわしいかも・・だって
小学校5年生の男の子が、国際昆虫会議でポスター発表し、英語で質問に答えてる!この小学生可愛い!すごいー!

長井丈君10歳・神戸の小学5年生
何でも「アゲハの幼虫の記憶は、成虫やその子孫に遺伝するのか?」がテーマの研究だとか・・

もとはと言えば、レモンの木にアゲハが卵を産み、幼虫からサナギになるのに死んでしまうという経験から関心持ったらしい・・
アレっ?誰かの話に似てるなぁ~。

と言うのも、以前診療室のベランダに、食べたグレープフルーツの芽が出てる種を植えたことがあり、芽が伸びて枝ぶりも立派な鉢植えとなり、気がつけば黒い糞のようなものが沢山あって、それがあっという間に青虫になり子供たちが面白がっていました。青虫に葉っぱ食べられて、グレープフルーツの木は裸ん坊になりそうこうしてるうちに、壁に幼いアゲハが、飛び立つ練習をしているのを見守った経験を思い出したからでした・・

この丈君は、それでは終わらない・・
一年生の時、僕とチョウチョの35日間というレポートをし
二年生では、アゲハの過齢幼虫(5~6回も脱皮)の大発見をし
三年生では、育てた蝶を離しても自分の周りを飛んでくれるが、野生の捕まえた蝶は自分の周りを飛んでくれない、なんでだろうの疑問持ち、記憶では!と思って、幼虫の時にラベンダーの匂いをかがせ、触る代わりに低周波をあてて記憶するようにしてみた!と。スゴイ~!

その理由がおもしろい。ママが片頭痛で、僕もそう、おばあちゃんもそうなんだよ・・と。アゲハを1世代から3世代まで飼育し、交尾させ研究に励んだらしい・・スゴ過ぎて言葉がありません

幼虫時に、ラベンダーの匂いと低周波をあて、嫌な事がある!と記憶させた結果、成虫の68%とその子孫もラベンダーの匂いを避けたそうです
その結果、アゲハも記憶は遺伝すると思うと結論付け、幼虫も可愛いけれど、成虫に遺伝するとわかってもっと好きになりました・・とにっこにこ笑顔でした

将来は生物学者になりたい、困ってる動物や人間を助けたいんです・・と、どこまでも目がキラキラ笑顔の丈君でした
最期にママが出られて、実験装置などお手伝いしたんですか?の質問に答えて「百均に連れてって、本人に考えさせ、自分で作るように促しただけ・・」とサラリとお答えになりました、拍手!

追記・何故あえて蝶の話題と思いましたが、最近よく、と言うより、今まで気づいてなかっただけかもですが、何かの時に「アレっ?蝶々だ」とアゲハが近くを舞うのに遭遇することがあり、友人にも「アゲハが来てるよ」と指摘されることも多くて、なんだか最近アゲハとご縁があるなぁ、不思議だなぁと思っていたので余計この丈君の着眼点と、10歳の素直な気持ちが繋がった研究に驚きながら、親近感持ったことでした
将来の生物学者目指して、丈君頑張って下さい!

滑舌体操に 若隆景

超高齢化社会の日本 
認知症予防には・・何々を食べる・・、毎日1000歩歩く!腸内細菌・・云々、テレビでも新聞でも、雑誌でもあ~ぁ忙しい・・!
唯一私の続けてること、早口言葉です、それも決まったものだけですが、よく
このブログにも書かせて頂くので、皆さま呆れておられるかもしれません、言うほどはやってないのです、ええ加減がいい加減だと勝手に思っている私

それでも何年前!?この「若隆景」がテレビに出た時にはビックリしました。なぜってアナウンサーが言い難そうにしてましたからねぇ(笑)
思わず「何?」って見ちゃいましたし、自分で言ってみて「こりゃアナウンサー泣かせだわ」と思ったものです
なので、日に一回実践のパタカラ体操(滑舌予防)に「若隆景」を加えてみました。難しいわぁ、こりゃアナウンサー泣かせというより、イジメかもです

そしたらこの度届いた九州場所番付表みて、東西の上から順に発音してみたら、「若隆景」どころか難しい四股名のオンパレード!
「一山本」「錦木」「錦フジ」「尊富士」・・

「美ノ海(ちゅらのうみ)」を「チラのうみ」と発音した自分に笑っちゃいました。こんな身近にいい教材があったんだぁ~と上から順に読むことにしました。いつまで続くか「?」ですが、やらないよりやった方がいいに決まってるので、少しでもおもろいやり方がいいかな?と。どうぞ皆様もよろしかったら、番付表発音してみて下さい、疲れますよ~でも、有効じゃないかなぁと確信します

そう書いている時丁度、若隆景と美ノ海の対戦、アナウンサーもどなたも若隆景の名を言う時には、一瞬ゆっくりのような気がします、ですよねェ
「若隆景」は前頭ですが、発音の難しさにおいては横綱です💦!ファイト!

4・4・8呼吸法

あっ、またやって下さってる! 4・4・8呼吸法
と言うのも、前にも紹介している番組見て、これはいいわ!と二三日やって、相変わらずの三日坊主で中断してたものでした・・

緊張をほどくのにとてもいいらしく、血液を全身に届けますよ・・と優しそうな先生が伝授されていました

4数えて息を吸って

4数えて息を止めて

8数えて息を吐く

これだけですが、やってみると結構大変!
歳とともに、吐く力が弱ると言いますからね。これを機会に忘れないように続けてみたいと思います。 フーッ!

山藤章二さんを悼む  東海林さだお

暑さが残る中金木犀も咲いたりする今年の秋、著名な方の訃報が届く猛暑後でした。9月30日に亡くなった山藤さんへ寄せられた、東海林さだおさんの追悼文です

山藤さんはまっすぐにものを見る人だった。
まっ直ぐに物を見て、まっすぐに表現する人だった。
小細工はしない。
だが”ズケズケ”と言うのともちがう。
歯に衣着せぬ、と言うのとも違う。
ありのままをありのままに表現するのだが、ありのままをどう捉えるか。
そこのところに”山藤流”があった。
山藤さんは相手を鋭く指摘する。
批評はとかく切り捨てゴメンになりがちである。
山藤流はそこのところを独特のユーモアにもっていく。
ユーモアに持っていくので、鋭く指摘された人の心は緩む。
緩んで安心する。
安心するのでつい頷いてしまう。
頷いたついでに、つい、ニヤリとしてしまう。
自分の事なのに、つい、ニヤリとし、苦笑し、その苦笑が,いつのまにか。肯定の苦笑になっている。
山藤さんは自分のことをしばしば「戯れ絵師(ざれえし)」と称していた。
世間一般で言うならば「イラストレーター」。
それをわざわざ「戯れ絵師」。
「戯れ」るは「ふざける」。
「絵師」に至っては何をかいわんや。
まさに江戸時代?鎌倉時代?
そういう反逆精神を常に忘れなかった。
忘れなかった、というより、心掛けていた。
山藤さんには世間一般ではあまり評価されていない一面がある。
あまりに当たり前なるがゆえにみんなが気がつかない面。
それは山藤さんの描く似顔が本人によく似ているということ。
実によく似ている。
当代随一、天下一品、唯一無二。
こんなこと(似顔が本人に似ている)をわざわざ書くのは、本人に似てない似顔を描いて平然としている人がいかに多いか、ということを言いたかったからである。
そしてまた、本人に似せて描くことがいかにむずかしいか。
本人に似せて描くことがいかに研鑽が必要か、ということを言いたかった。
そういうことを含めて、山藤さんは”さりげなさ”を大切にしていた、ように思う。
大げさを嫌った。
大げさは粋じゃない、と思っていたような気がする。
「戯れ絵師」はいかにも時代にそぐわない。
そぐわないし大げさである。
そぐわないし、大げさと知りつつ戯れ絵師を名乗る。
只者ではない。
また一人、「只者」が消えて行った。残念。

ビックリ!パリのメロンパン・ドバイの焼きそばパン

ヒェ―ッ!
パリのパン屋さんで、皆が日本のメロンパン買って食べてる!
しかも、アレンジがいっぱいあって、どの方も「美味しい美味しい」と
更に、ソーセージパンやら、カレーパンも大好評!

そしたらもっとビックリ!
次に出たパン屋さんの一番人気は、な~んと「焼きそばパン!」
こちらはドバイのパン屋さん、経営はなんとドバイのイケメン殿下!
もう、ビックリマークばかりですみません

アッ!(またビックリマーク)そうだ5月にアップしたデーツだ!と気づきました。なぜって焼きそばパンって言ったら、ソース焼きそば?
繋がりました!デーツ!

5月に私の大好きな「デーツ」のブログ書いた時、日本のソース会社の方がイギリスのウースター州訪問した際、ソースにデーツが使われていると知り、日本のソースの甘みに使っていた砂糖を→デーツに変えたという情報とぴったんこ合いました。

なぜって放送で焼きそばパン一位の、パン屋さんを経営するドバイの殿下が「デーツの甘みを使ったおたふくソースを使った焼きそばだから、ドバイの人に親しみがあるんですよ」と言ってるじゃありませんか?納得!にっこり
デーツ好きとしては、それが日本のソースの甘みに使われ、そのソースを使った焼きそば挟んだ「焼きそばパン」が、はるかドバイにつながるとは思ってもいませんでした。ハナマルのご縁ですね、
なんだか超嬉しい「デーツ縁」でした!(ビックリマークだらけすみません)
いやはや本当にビックリ! 繋がるなぁ~

折々のことば 3248

日本人だけが安全で豊かなことって、ありえないんですから。
                     緒方貞子

元国連難民高等弁務官は、国家の安全は社会の安定なしに確保できないと語る。ある社会集団ばかりが不公正な状況におかれることがテロや紛争の温床となる。日本が国際的な安全に依拠しつつ経済大国となったことを考えれば、国際社会でいま果たす役割も見えてこようと。
2001年のインタビューの再放送(NHK・Eテレ「テロはなぜ生まれるのか」10月2日)から。

チェロの堤剛さん 文化勲章受章!

8月26日付、チェロの堤剛さんの、ドボコンの放送を楽しませて頂いた記事をここに書き、随分前のお若い頃の再放送でしたがこれぞ!ドボコンと感動したと書かせて頂きました。そうしたら、この度の文化勲章受章の報!!何と嬉しいことでしょう

日本の音楽界全体を牽引し現在は霧島国際音楽祭音楽監督、サントリーホール館長でも居られます
「音楽は人間の心に内なる豊かさを育み、多様な背景を持つ人々の心を繋ぐ架け橋となります」と堤さん
亡き・小澤征爾さんらと後進の育成に奔走、今日本のチェロ界は個性、技術とともに充実の極みにあります「今の若いチェリスト、誰一人似た人がいないでしょ」と相好を崩し、若い作曲家から今も新作を託される日々だそうで、好奇心が先に立ち、嬉しくて挑戦をやめることができないとおっしゃるそうです

先日私が感動した、お若い頃の堤さんのドボコンとともに、いつぞや「題名」で放送された円熟味を増された今日の堤剛さんの演奏が、再放送なることを心から願います。
文化勲章受章おめでとうございます♪

川柳のらりくらり お題・虫歯

たまたま知り合いのところで普段見ない週刊誌をパラリと見たら・・
落語家・柳家喬太郎さん選の川柳コーナーが!
偶然お題は「虫歯」!

・歯医者さんが悪魔に見えた幼き日 (広島県・65歳)

・明日抜くと言う歯を舌で舐めている(千葉県・94歳)

・一睡もさせてくれない蚊と虫歯 (大阪府・82歳)

・カトチャンの歯ぁ磨けよを聞いとけば(静岡県・74歳)

・虫歯でもいいから欲しい自分の歯 (北海道・94歳)

☆彡今週の特選句!
・自然治癒しない虫歯と夫婦仲 (千葉県・75歳)

   以上選ばれたのは何故かすべて男性の句のよう。ご高齢の方が多く、のらりくらりと投稿なさるだけでも素晴らしい!気持ちがにじみ出ていて全部ハナマルですが、全てお気持ちお察し致しました・・ハイ

おかゆ大福

先日「あんこ愛」というブログあげたものとして、この記事にはビックリしました、と同時にご高齢者などに喜ばれるだろうなぁ~と直感しました

高齢者が超高齢者となり、口から食べることへの関心高まるわりには、なかなかお食事への対応が進みません、いえ、進んでいる所はすっごく進んでいるのですが、全体がその認識になってはいません

お食事がそれですから、ましてやお楽しみの和菓子に至っては、今回のようなご提案は耳に入ってきませんでしたからビックリ、介護の現場で大歓迎だと思います

先日「あんこ愛」を書いたように、ご年配者に限らず闘病中の方、特に甘みを制限されている方を除けば、大概「甘いもの特にあんこ」はみんな大好きです、
特に男の方は・・

前文が長くなりました(いつものことですが)
戦国武将・藤堂高虎の城下町、三重県伊賀市の総業400年余りになる和菓子店の18代目、もう一つの肩書が、市の災害ボランティアセンター長である中村伊英さんが「のどに詰まらない大福」を作ったそうです
食品による窒息死は年4000人以上も報告され、高齢者に多いそうですが。中村さんの祖母の弟さんも、お餅がのどに詰まって亡くなったことから「安心して食べられる和菓子を作れないか」と工夫されたとか・・
粘り気の出るもち米を使わず。うるち米の粉や寒天でこしあんを包むと、口中でほろりと溶けた、それで「おかゆ大福」となりました
販売から8年、全国の介護施設約500か所に広がってるとのこと、ちっとも知らなかったです、迂闊でした・・
「ゼリーや水ようかんしか食べられないとあきらめてていた」感謝の声が届いているそう、良かったですね。ハナマルです💓

市民活動を支援するNPOの立ち上げを考えていた頃、阪神・淡路大地震が起き、ぜんざいを振る舞おうと、小豆を持参して避難所での餅つきを考えた中村さん、「反発されないだろうか」恐る恐る始めると、お祭りのような雰囲気に
「災害からひと月ほどすると、甘いものが食べたくなる。お菓子の力を見た気がします」・・と中村さん、良かったですね。

今年2月には、能登半島地震の被災地の介護施設を車で回り、おかゆ大福を配りながら。被災者の声を聞いた、今も月に一度、10人乗りのレンタカーを運転し、ボランティアと7時間かけて通ってらっしゃるとのことです
「人間らしい日常生活を取り戻すということでは、ボランティアも、お菓子も、目指すものが同じです」と.。誤嚥に配慮した「おかゆ大福💓」
召し上がった方にどれほど笑顔と、ホッとなさる幸せをお届けしたことでしょう
すばらしいご活動、少しでも多くの方に召し上がって頂けますように、素晴らしい方がたくさんおられますね。思っていても動かねば・・と反省です

以前ここに、バイオリニスト廣津留すみれさんがアメリカ留学中に「意見を言わないのは、居ないのと同じです」と言われ衝撃うけた・・と言う記事を書きました。おかゆ大福考案され、広められている中村さんもまさに、信念もって行動に移された方、人を想う信念には人々の共感が伴うんでしょう、素敵なお話しに目を覚まされる思いがいたします

同じ月を眺めている

猛暑の後、まだまだ暑い中にも秋は来たようで、お月さまが冴え冴え見えます
スーパーのチラシにも、いきおい十三夜の案内やお月見団子の案内など、にぎやかです。今はご自宅でお月見団子を作るのも珍しんでしょうね・・
先日はスーパームーンとやらでしたが、曇りだった上、いつもと同じでした

でも、夜空を見上げると、金色の輝きを放つ月が、私達のことをいつも見守っています。幾千もの星の輝きを見ることが難しくなった現代であっても、月は変わることなく私達を照らしてくれていると感じます

月かげの
いたらぬさとは
なけれども
ながむるひとの
こころにぞすむ

大好きな歌です

あんこ愛

我が家には絶大なるあんこ好きが居て、魅力的なあんこに目がないのです。どら焼きは上野のうさぎや、あんみつはミツバチ、豆大福は群林堂、最中は空也・古印最中、どちらかと言うと「こしあん」好みですが、もちろん粒あんも大好きです。な~んだどっちだっていいんじゃない・・と言われればそれまでですが・・

いつぞや「あんパンとクリームパンどっちが好き?」と言う記事があり、「何言ってんのアンパンに決まってるじゃない」と思ったら、やっぱりアンケートとったら71%対21%であんパン好きの方が多かったそうです、にっ!
・あんパン食べるとホッとする
・あんパンは一個でも安心の満足感、忙しい時はあんパンと牛乳で決まり!

あの人もあんパン好きだったらしい、食に詳しいジャーナリスト重金敦之さんは「あんパンのへそ」と題してこう書いています
< ところで銀座のパンと言えば、誰でもが四丁目にある木村屋総本店のあんパンを思い起こすはずだ >
あんパンは日本初のパン屋、木村屋がつくったとされる。1875(明治8)年に明治天皇へ献上、天皇は「御感斜めならず」と返す。<  もってまわったいいかただが、要するに「気に入った」ということ。これが契機となって、日本中にあんパンブームが巻き起こった  >
やっぱり我々日本人「あんこの国」「あんこの民」なのだろうか・・

この後記事では、対するクリームパンは新宿中村屋が最初に作ったとされる云々・・続くが、あんこ好きとしてはここまで・・

里の父も大好きな木村屋のあんパン、父は桜の塩漬けがのったのが大好きでした。美味しいねぇの言葉に折々持参、最後の入院の時ロマンスカーに乗る直前デパ地下に飛び込み「桜あんパン」買ったものです。「随分小さくなったねぇ」。他の認識乏しくなってもあんパンの大きさにはすぐ気づき、細くなった手で、いつものように半分に割って、鼻を抜けるパン酵母のにおいに目を閉じて満足そうに頂くのでした・・「美味しいねぇ」いつものように言ってくれたことが家族みんなにご褒美のように耳に残っています
ほどほどの桜塩漬けの塩味と、美味しいあんこ、そしてパン酵母のにおい、ホッとしたんでしょう
みんな大好き、あんこ!

この新聞記事には、明治天皇の「あんこ愛」とありました
そう言えば高輪の高松宮邸そばに、松島屋さんと言う、豆大福の有名なお店がありますね、赤い暖簾だったかしら、しばらくご無沙汰の昨今です・・
おいしいお茶入れてあんこ食べましょう、何にしようかなぁ~

明日は明日の風が吹く

La  nuit  porte  conseil (夜は忠告をもたらす)
                  フランスのことわざ

田辺貞之助編「フランス故事ことわざ辞典」によれば、「何か重大な決定をするときには、すぐに決めずに、一晩落ち着いて考えろという訓え」重要な決断は即決しないで一晩塩漬けにして待てということだと

「夜は思案の母」「枕と相談せよ」とも言うらしい(折々のことば・鷲田清一)

たしかに、反省反省・・
猛暑の後ストンと肌寒くなり、ようやく秋晴れ、冴え冴え現れたお月様にハッとします。日に日に変わる自然や空気、大事にしなきゃもったいない、もったいない・・大事な時間

 

再び、アルフォンス・デーケン先生

喜び、悲しみ、苦しみを
分かち合う人間関係がないと
いらついたり、むかついたりする

喜びも人に話せば二倍
悲しみも人に話せば二分の一になる
周りの人は有難い 
             

朝日歌壇「番外地」選者・馬場あき子さん

私は嗜まないが・・馬場あき子さん選の時は、いつもクスッとしたり、ユーモアのセンスになんかいいなぁ~と拝読。猛暑の夏の終わり、セミの声も聞かなくなった頃の人生の達人の真面目とおかしみと、あります

・本名です結婚以来名乗ります「かいじゅう」なのです驚かないで 
                          海住 秀子
   「驚かないで」と言われれば驚かないが、いきなり「かいじゅうです」と名乗られたら耳をうたがい、「えっ」と顔を見てしまうだろう。「海住」の文字でやっと納得。次にすぐ友達になりたくなるにちがいない。実に魅力的なお名前だ

・長男の帰省する度知らぬ貌ポールスミスのパンツを洗ふ 
                          斎藤 紀子
    このお母さん、結構楽しんでいる。息子のブランド趣味を通してその心の世界を除いているのかも。ポールスミスはイギリスのファッションブランド。オシャレだなァ。家で手洗いしていいのかなあ。どんなパンツだったのだろう

・家のみで〆の焼きそば振る舞えば上品な味やねとソースかけられて
                          山田 啓子
    この家飲みの場面は親しい人々の賑わいの中でのこと。下句が断然面白い。啓子さんが振る舞った〆の焼きそばは、関西風の味だったのか。客の一人が「上品な味やね」とほめたそばからソースの入った器を取ってじゃーっとかける。「あっ」と思う日々の顔が見える。

選外ながら・・とユーモアあふれる短歌を目にして、またこれらを選ばれる馬場あき子さんのセンスにこころがふわっとしました。ほっこりハナマル!

小田凱人君、金メダルおめでとう!

昨晩テレビで放映あるかなぁ~と、BSのフジ子へミング特集見ながら探していたけど見つからず、それでも眠い目をこすってチャンネル移すも見当たらず!エ~ッ!こんな大事な時に放映ないんだと、ブツブツ言ってたら少しして、小田選手金メダル!とテロップ出て、バンザーイ!

準決勝に進む前も、「金メダル取るために来た!」と強い決心を言ってただけに本当にすごい!おめでとう!
時々自分を鼓舞するようにとがったパフォーマンスする小田君に、頑張れ~と、そのキッパリさに、手に汗握りながら応援の声も大きくなりました。練習に明け暮れる中、小さい子たちにテニスを教えたり、関心持ってもらえるように活動する、小田凱人君まだ18才!

大きな手術をし、車いすになって大変なのに、レジェンド国枝さんを見て車いすテニスをやろうと決め、車いすの操作も体調も大変な日もあっただろうに、決めたら一生懸命、追いつき追い越せその成長ぶりはどなたもご存知のように清々しい
先日ここに那須川さんとのやり取り載せましたが、想像超えるご苦労おありでも、それを微塵も見せずに挑戦する小田君の姿、日々の自分のちっぽけな事なんか、ぐずぐず言ってられないわ!とこんな歳の私にも思わせてくれるパワー頂きました
頑張れ!小田凱人君、なんだか清々しく嬉しい!

素麺イタリアンと一汁一菜

素麺イタリアン!名前に惹かれ、土井さんだし・・なんだろう、やってみようと見ました。それがそれが画期的!お素麺を茹でないで、味つけもしないで美味しく仕上がりました。猛暑の夏に最高!

土井善晴さんは、大阪出身の料理研究家、スイス・フランスでフランス料理を学び大阪吉兆で日本料理を修行の、知る人ぞ知るお料理のプロ。日本料理の土井勝さんの息子さんです。かの昔フランス料理は飯田深雪さん、中華は陳さん、日本料理は土井勝さんと言われた時代でした

その土井勝さんの息子さんが最近「普通に美味しいもん」今日幸せになるなら家事は捨てたっていい、完全無欠より大切な「一汁一菜」(ご飯、味噌汁、漬物)がある。具だくさんの味噌汁にすれば、おかずも兼ねながら、漬物はなくてもいいと・・言い始められたもんだから話題沸騰!

日進月歩の家電の進歩で、家事が驚くほど楽になって・・いないのはなぜだ?と土井さん。家事は本来生きること、「家事からの解放を」と
整えられた部屋、品数の多い食事、糊のきいたシャツ、そんな理想が私達を苦しめる、嫌なら手放したっていい。完璧な食事を捨てよ、ご飯と味噌汁だけ、家庭料理はその「一汁一菜」で充分と大胆発言です、幸せになろうと

ワーキングマザーから一人暮らし、子どもの巣立った家庭まで、多くの人が料理を「しんどい」「億劫」だという。本来料理には「ケとハレ」があるが、これがごちゃごちゃになってるのが原因と土井さんは言う
家庭でもレストランのような料理を作り、まるでグルメ番組のように「美味しい」と言われないといけないという勘違いがある。美味しい、まずいでなく家庭料理は普通がいいんです・・とキッパリ

家庭料理は「家族の心の置き場」だから、お祭り騒ぎのような「美味しさ」でなく、手作りの安心できる「ふつう」が大事
ご飯炊いておけば、具沢山の自由で手軽な味噌汁だけで普通に美味しい
「そこでできた時間や気持ちの余裕」を大事にしてほしい。一汁一菜に何か加えたくなったら、それも構わない

「一汁一菜」を始めたら、もっと料理を作りたくなったと言い出す人がいます
余計なものから解き放たれたからでしょうねとも、付け加えています

一汁一菜の提案は、「家庭料理の初期化の提案でもあります」どんな家事家電やサービスが便利になっても、軽減されない負担感。余計な家事を捨てようとする「捨て家事」がここ数年の大きなトレンドです!とおっしゃいました。自分の家事を「棚卸し」しましょうとキッパリおっしゃる大阪弁に、ハッとします

素麺イタリアン作るのを拝見しても、僭越ですがお料理を知り尽くされ、基本をしっかり踏まえておられるからこそ、材料の性格もきちんとご存じな上でのご提案なので、本当に心に響き「こうあらねばならぬ」に風穴をあけて下さったんだとおっしゃること深く心に沁みました
何でもそうかもしれません・・お料理の専門家から大きな示唆を頂きました。

暑さ残る中にもスーパーには栗も売られたり、秋の兆し垣間見るこのごろです
この夏の暑い日々、水分補給!とガブガブお水やお茶飲む日が続きました。どれほど胃も疲れていることでしょう。具だくさんのお味噌汁でほっこり胃を労わってやるのもいいかもしれませんね
素麺イタリアン!もぜひお試しください。いけますよ!

折々のことば 3088

迷惑をかけたり、かけられたりしながら、
濃厚で味わい深い人間関係がつくられてきたのだ  多田富雄

 幼い頃から人に迷惑をかけるなと教えられてきたが、歳がいって真っ先に甦るのは、とんでもない不注意や失敗で迷惑をかけあった経験ばかりだと、免疫学者は言う。師弟や友人、家族の間でも、迷惑をかけあう中で関係が濃くなる。迷惑をかけないよう気を配るばかりの付き合いはなんとも「味気がない」と。
随想集「独酌余滴」から

1998年熊谷崇先生が、「虫歯も歯周病も細菌の感染症」とヘルスケア研究会を立ち上げられた発会の日、基調講演はこの免疫学者の多田富雄先生。蝶ネクタイで登壇され、歯科の予防の会の立ち上げに一番スゴイ免疫学者がなぜ?と、不勉強の私達は思ったことでした。難解なお話の中で「サイトカイン」だけは、何故か耳に残っておりましたが、その後感染症として口腔内を学び実践する中でも、この言葉は忘れておりました
それが、世界中を混乱に落としたコロナの出現!で俄に蘇りました。あっ「サイトカインストーム」1998年あの時、多田富雄先生がおっしゃったのがこれだった!

多田富雄先生、ご専門を離れると趣味豊かな方でらして、お能も嗜まれていたと知り、今から26年前にこのような第一線の免疫学者のお話を拝聴出来た幸運に、感謝するばかりでした。熊谷先生のおかげです
しかしながら晩年、多田富雄先生は突然の脳梗塞で声を失い、半身不随でご不自由になられた時には、患者さんとして専門部署にご意見述べられたと記憶しており、ご立派な方だなぁと尊敬申し上げておりました
偶々「折々のことば」に先生のお名前を見つけ、再び感じ入ること大なりでした

ゲリラ豪雨や暑い中にも、空にはいわし雲、9月の風のにおいがいたします

産経新聞 「朝の詩」から

凧が空高く飛べるのは
誰かが糸を
引っぱっているから
でも凧は
その糸さえなければ
もっと自由に
空を飛べると
思っている
その糸がなければ
地上に
落ちてしまうのも
知らずに       宮川優

本を整理していて、曽野綾子さんの文庫に目が留まった。その本の中にこの「朝の歌」から・・があって再読。凧の糸は、それは確かに自由を縛るように見えるが、その重い糸に縛られた時に、初めて凧は強風の青空に昂然と舞うのであると

見るともなくページをめくって、再び感動したりしているからちっとも整理が終わらない。しかしそれもいいと思う・・猛暑の夏の終わり

堤剛さんのドボコン

先日に続き、たまたま堤剛さんのドボコン、再度お聴きする幸運に恵まれました
1981年6月NHKホールにおけるN響コンサートです
少し前惜しまれつつ亡くなったピアノ・中村紘子さんの同じ年のコンサートも放送され、友人たち皆興奮しました、エレガントな中村紘子さん、堤さんと仲良しだったと記憶しています

ツウぶってドボコンと言いますが、ドボルザーク作曲・チェロ協奏曲ロ短調です。かの昔、ロストロポービッチがこの曲を弾いてから、その演奏に魅せられこのように呼んでいるように、勝手に理解しています
小澤征爾さんとも通じてらしたロストロポービッチは、実に人間的でおっきくて
その演奏は心揺さぶるものでした

1981年の懐かしい堤さんのドボコン♪♪
若々しさみなぎる中にも、壮大に歌いあげ気持ちいいくらいでした

それにしても、もみあげの立派なこと!不謹慎にも「また逢う日まで~、会える時まで~」の尾崎紀世彦さんのもみあげを思い出してた私です・・あの頃、流行りだったのかなぁ

第三楽章のおわり、朗々と歌うチェロの美しい調べは、何度聴いても、演奏終わってもからだ中に響いて、とても豊かで幸せな気分になりました

そう言えばその頃のオケには、女性の演奏者が少なかったことが見て取れ、時代の移り変わりに興味深いものがありました
その後ご活躍の、ホルンの千葉薫さんの若々しいお顔もありました、隅々まで懐かしく、豊かな演奏聴かせて頂きました。みずみずしい気持ちを思い出しました
音楽ってだからステキです!

甲子園のトンボ

高校野球真っ盛り、仕事しながら何気につけてた、テレビから聞こえて来た「トンボ・・」

「トンボ歴30年のベテラン・・」のアナウンサーの声に、「うん?」と画面を見ました。そうしたら甲子園球場の地ならしをする方々にカメラが回っていて、その地ならしする器具のカタチが竹とんぼのようだったので、「トンボ」ってこの事かぁと初めて知った次第です

まるで聖地のようにきれいに整われた球場の地面は、このようなプロの方々によってなされたものだと初めてしりました。
しかもその一人の方が、「少し雨降ってくれると助かるなぁ、いや、経験値だけなんですけどね」と空を見て又、黙々とトンボと言う器具を動かすご様子に、どの部署にもこうしたプロフェッショナルな方々がいらして、成り立ってるんだなぁと、そのプロ意識の凄さに感嘆しました
だからこそ、甲子園を去る若者たちが土を持ち帰りたくなるんだろう、その甲子園の土には自分の達成感とともに、かけがえない人々、表に出ない支える人々も含めてのおもいも詰まってるから、持ち帰りたくなるんだろう・・と

ふと、島根県の足立美術館の庭師たちの話を思い出しました。2003年以降アメリカでも有名な庭園の人気ランキング一位を続けている日本庭園です
人工の庭と、自然の山々とで究極の美を創り出している庭師の集団、
拝観者が来る前の早朝に、一枚の落ち葉もゴミもチリ一つ残さず、お客様を迎えるそうです。ランキングの為でなく、今日見えるお客様の為に、「掃除に始まり掃除に終わる」といって憚らないプロの庭師たちだそうです
剪定もハサミを使わず、手でつまむ時もあり、人の手が加わって自然は美しい魅力を増す!と言い切ります

甲子園のトンボを知って、トンボ使っておもいを込めて整地し、全国を駆け上がってきた球児たちに最高の舞台を陰で支える甲子園の整備の方々を見て、足立美術館の庭師と重なり、やはり、晩秋の足立美術館に行きたくなりました

そうそう、待合室の新刊本コーナーに置いといた「大事なものは表から見えない」と言う絵本。土の下の植物の根っこやらを紹介した私の大好きな絵本でした。子供たちが、ただ飽かずページをめくってるのを見るだけで幸せでした

高校野球の選手たちの頑張りに拍手!
そして関わる方々にも、大きな拍手差し上げたいですね

後記・試合も終わった25日の情熱大陸が、たまたまこのお話しでした。今月”100歳”を迎えた「阪神甲子園球場」を支える現場を8カ月にわたって見つめたと。1月、内野の土を耕運機で掘り起こす「阪神園芸」の職員たち。春までの3カ月が、その年の命運を握っていると言う。目指すのは、水はけと水持ちのいいグラウンド。この一見相反する整備の真髄。ファンの間で語り草の”神整備”には、気の遠くなるような準備があるという。つい正座してしまうような心に響く番組でした。トンボに気づいて、いろいろ知れて有意義でした

パリの漫画喫茶 続き

8月2日にパリの漫画喫茶7月24日放送のテレビ時評のレジュメを、ここに載せさせていただきましたら、先日の夜番組の再放送がありました

興味深く拝見したら、息子に漫画喫茶を勧められて一緒に来たママとか、そのママが「漫画には人生の哲学が描かれて面白い」等、また夫と交互保育!?なる言葉も初めて知って、思いがけず知らないことだらけでした・・

パリで年間約100冊もの、日本の漫画の新刊本を出してることも驚きを持って、初めて知りました。漫画喫茶に関わる流ちょうな日本語のフランス人男性が一番好きなのは、手塚治虫の「火の鳥」だそうです、日本は世界で一番影響力のある国だよ・・と

読書の合間に、供えられてるカップ麺を、特にインスタント焼きそばのUFOが人気で、若者が器用に「美味しい」とすすってました。カップ焼きそばを大事に抱えて帰る若者に、クスっとしました

「あきらめないで、前へ」
漫画で言われると勇気出てくる!と小学生くらいの男の子が、マジ顔で言うのでした、そして一生懸命、日本語を話そうとしてて・・その位日本の漫画に魅せられてるご様子、なんだか嬉しいなぁ

又、あらためて日本の漫画のラブコメでは、女性が男の人の為に頑張ろう!だけど、欧米の女性は、自分の為にきれいになろう!と思うんだよ・・編集に携わる男性の言葉はすんなり、痛いほど届きました・・

ちなみに人気の一位はワンピース
       二位はNARUTO
       三位はドラゴンボール
       鬼滅の刃・・と続きます

日本の漫画喫茶に集うフランスの方々から、知らないことを沢山教わりました
見方が変われば、理解も変って面白い!とあらためて痛感でした
それにしても、その漫画喫茶に集う方々が、どなたも穏やかだったこと・・

草熱れ くさいきれ

今年に入って、ある方から頂いた「美人の日本語」山下景子・美しい文庫本は日めくりのように、毎日開かせて頂くのが新しい習慣になった
そして8月13日が「草熱れ」(正直読めなかったです・・)

元気への変換 
生い茂った草が強い日光に照りつけられて発する、むっとした熱気の事です
「熱れる(いきれる)」、熱くなるとか、蒸れるという意味で、「息切れ」や「息有る」が語源だそうです
炎天下で、草たちも一生懸命息をしているのですね。
「熱る(いきる)」となると、調子に乗って勢いづくという意味もあります。
暑い時は息づかいも荒くなります。ところが、息づかいが荒いのは、暑さのせいではなく、興奮して、勢いづいているからだと思い込んだわけです。
楽しくなくても、笑ってるうちに楽しくなるように、暑くて息を切らすことを元気に変えてしまったのです。
私たちも草たちを見習って、この夏の猛暑を元気に変えてみませんか。とある

はて?本の後ろを見れば平成20年4月初版、平成24年8月3版発行
今、令和6年8月。3版から約12年経った。毎日35度以上の気温を聞くことが当たり前になった昨今の夏、ひどい時は優に40度を超す日もある
山下さんが「草熱れ」を書かれた頃の8月13日は気温何度位だったのだろうか?
おもえば私も小さい頃、野原を走り回った時の気温の記憶は全くないものの、なんだかム~ッとした草の青いにおいは思い出す。「くさいきれ」は微かに記憶があるような、ないような・・
現在の猛暑では、子どもでも外を走り回るのも憚れ、嘆くばかり・・
なのでそんな子供たちを見る影もなく、私も「くさいきれ」はすっかり忘れてしまいました。皆さまは草熱れ、覚えておいででしょうか・・?

池江選手応援しています

パリ五輪も随分進んで、メダルを手にした日本人選手が、帰国する映像も見られます

早くに水泳に登場した池江選手!
白血病の過酷な闘病を乗り越え!再びオリンピックに登場下さるなんて、なんともすごいことです!がんばりましたね
闘病からプールに戻った時の、筋肉落ちてやせたお体の映像をおぼえている人は、きっと誰しも「すごいことだぁ。頑張るなぁ!すごいなぁ、応援したいなぁ」と思ったはず・・
その時、池江選手は「水の中に戻れてうれしい」と顔をくちゃくちゃにして、インタビューに答え喜んでいらして、こちらも思わず「やったね」と叫んでしまいました

思うこちらは勝手だけど、それからどれほど大変な鍛錬の日々を送られて来たのか、計り知れません。彼女は頑張った!海外に鍛える場を求めて日本を飛び出してまで頑張った!だから、今回の結果は彼女にとって不本意かもしれないけれど、私達はわかったと思う。「あきらめないこと」「やってみること」

不本意な結果の後のインタビューで「無駄だったのかな?」と池江選手。そして一呼吸して「次の4年後頑張ってみようと思う・・」と付け加えた、すごい!

「無駄」ではなかったですよ、気楽に言って申し訳ないけれど、どれだけ大変か想像つかない治療と闘病経て、私達は前向くあなたを見ました
みんなそれぞれ、いろいろあるけれど、「前を向く勇気を頂きました」
だから、心から「頑張りましたね!ありがとうございます」です

その後のリレーに参加されたあと、めまい?起こされ医務室に入られたとニュースで知りました。おおごとにならぬことを願い、しっかり休息取られてご快癒を祈り、おからだ専一にと願うばかりです。

みつけた幸せ

「似ている言葉 みつけた幸せ」
             こんな宮城県の女性の投稿がありました

ある朝、食事で「ドレッシング」を使った後、「ストッキング」を探していたら、二つの言葉が似ていると気付き、嬉しくなった。
嬉しさは、朝の通勤電車でも職場でも消えず、幸せだった。他にも似ている言葉がないかと考えた。
「ホイップ」と「ポリープ」は、やだな。「ビジネス」と「美人です」も似ている。言葉遊びだが。
なゼドレッシングとストッキングがうれしいんだろう。それぞれの世界が素敵だからだ。朝食はいつだって爽やかで、笑顔がこぼれる。ストッキングをはいて、先輩女性たちは奮闘してきた。居場所は、一方は冷蔵庫、一方はタンス。そうしたイメージが組み合わさり、偶然の出会いに不思議な気持ちになる。
日本語の語彙数は30万~50万語ほどと言う。言葉の海で、二つの言葉が偶然、仲良く浮かんで輝いた。さりげない日常を送っていたら、また言葉たちが浮かび上がるかしら?・・と

見知らぬ方の投稿に、ステキなことを考えてる方がいらっしゃるなぁ~と知った一日。この春BSでとても楽しかった番組「舟を編む」。「言葉」がとても深く面白かったので、なんだかもう一度見たくなりました・・
いつになく他愛のないお話し失礼しました、なんだかほのぼの響いたのでした