カナカナぜみが遠くでないた
ひよこの母さん裏木戸あけて
ひよこをよんでる・・ごはんだよぉ
やっぱりおなじだおなじだな

ちらちら波に夕やけゆれた
目高の母さん小石のかげで
はよはよおかえり・・ごはんだよぉ
やっぱりおなじだおなじだな

サヤサヤ風が笹の葉なでた
こねこの母さんあちこちむいて
おいしいおととで・・ごはんだよぉ
やっぱりおなじだおなじだな

         作詞・サトウハチロー 作曲・中田善直

山村暮鳥に「ある時」という詩があると、八月のある日の新聞『うたをつないで』大岡信と言葉の力 というコラムにあった

「また蜩のなく頃となった/かな かな/かな かな/どこかに/いい国があるんだ」不惑の年齢で没する1924(大正13)年12月に校正の段階まで進んでいた詩集『雲』に収録され、詩集は翌月に出版された
虫の声に触れた詩で、この詩ほど印象深い作品はない、視覚の働きがほとんど後退し、聴覚が突出している。自然に聴こえてくる人間以外のものの声に耳を傾ける。すると、声の向こうに、ここではない別の場所がぼんやりと浮かび上がる・・と

昨今のように、また今年の猛暑のようだと、うるさいほど鳴いてたちょっと前のようには、蝉の声は聞かない。ひところはアブラゼミ、ミンミンゼミなどがまるで合唱でもするかのように、うるさい位鳴いていたのに・・
ましてやこの詩にあるカナカナゼミ(蜩)って、いつ鳴いたっけ?と思い出さないくらい忘れてしまった・・。蜩が鳴くのは早朝だったか?夕方だったか?
カナカナで一日のはじまりや終わりを知らせてもらっていたように思う

久しぶり蜩という漢字を見て、その存在すら忘れかけていたのに、小さい時歌ったサトウハチローの歌を思い出したのには、自分でもびっくりした・・
たしか題名は「夕方のおかあさん」だったと思う
中田喜直の歌、大好きだった