「むせる」を見逃さない(歯科外来で出来る摂食嚥下障害の予防)

通院できる患者さんであっても、治療中に「むせる」方を見かけることがままあります。これは70歳前後の男性に多く見られ、それは男性の喉頭の特徴によるもので、女性には少ないようですが、たまに女性の方でもいらっしゃいます。

いずれにしても、むせるということはその後、プラークが原因の肺炎にかかりやすくなるという重篤な状態になりやすいので、早いうちからの予防が大切です。

しかし現実には、飲み干しやすい「軟食」への切り替えが優先されがちで、それは楽に食べられて栄養が採れるようにとの配慮からですが、ベビーフードのような介護食や流動食を続けると、咀嚼により分泌される刺激性唾液の量が減少し、食物の咽頭への送りこみがますます弱まります。かつてはチューブに入っていた宇宙食も、最近は咀嚼するタイプに変ったそうです。「噛まないといけない」のです。噛まないと効果的に栄養分が吸収されません。ところが介護食の多くは、咀嚼不要な軟食で、栄養吸収上問題が生じます。

「むせる」と言う兆候が見られた段階で、きちんと飲みこめる状態に戻しておかないと、咀嚼や嚥下が出来なくなり、口の機能の廃用化が進みます。例えば足の筋肉や腹筋、背筋など、特に強い力を出せる筋肉は2週間使わないと30%機能が落ちる。歯の臼歯で噛み合わせられる咬合力は体重程度と言われますが、2週間軟らかい食事ばかりで噛んでいないと、やはり噛む力・咬合力は30%落ちるそうです。

その上むせるので、多くの高齢者は水分摂取を減らします。のどの渇きを感じにくくなりエアコンでどんどんお口の中は乾燥します。唾液による自浄作用も落ち、舌カンジタの発症も見られるようになります。水分控えるものだから、膀胱もどんどん縮み、少しの尿で尿意を催すなどの悪循環になるのです。

歯科医院への通院が可能な、要支援1・2くらいの時にこそ、「介護予防」と同じ認識で「摂食・嚥下障害の予防」を行う必要性を強く感じております。先日の認知症の研修会をきっかけに9月には更に学んでまいります。避けて通れない・また知っていれば未然に防ぐ、お役に立てる方法があるはずですので。

 

 

 

 

 

 

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