細胞生物学者、歌人でもある著者・永田和宏さんが贈る秀歌とエッセイ
「人としての尊厳」
☆初めてのオムツをした日母が泣いた私も泣いた春の晴れた日
近藤福代 朝日歌壇2020・5・3
自分でトイレにも行くことがむずかしくなり、やむを得ずオムツをすることになった。母が惚けていてくれれば、オムツも抵抗なくされるのでしょうが、意識がしっかりしている老いがついにオムツに頼らざるを得なくなったときのショック。この一首では「母が泣いた私も泣いた」と親子がそれぞれ泣かざるを得なかったところに、人としての尊厳を奪われるように感じざるを得ない、容赦のない現実が端的に表れている
「老いのユーモア」
☆あかるすぎる秋のまひるま百円の老眼鏡をあちこちに置く
小島ゆかり「雪磨呂」
まだまだ若いと思っていた作者が老眼鏡を必要としていると聞いて愕然とすることも確か。しかし、このあっけらかんとした表現は、変にもったいぶった女性の老いを軽やかに飛び越えているさわやかさがあって、好きな歌でらっしゃると
中高年は人生の困難をのりきる収穫期。永田和宏さん、自ら後期高齢者になった経験から深く読み取る・・と帯にあり私も同感すること多々ある中、むか~し柏木先生、デーケン先生等々人生の達人の方々から教えていただいたことを思い出し、「にもかかわらず笑う」でいけたらいいなぁ・・と
先日ある集まりにボサノバの小野リサさんいらして、イパネマの娘など歌って下さって素敵でした。最後にはボサノバ風に「ケセラセラ」、つい一緒に口ずさんで友人と「だよね~」と暢気な私たち
出来るだけ楽しいこと探ししていたいと思って樹々を見れば、葉っぱがまことに美しく色づいて来ました。その足元では、丸くて白い秀明菊の花弁が風に揺れて・・
花言葉は「あせていく愛」「忍耐」「多感なとき」だそうです・・思わず笑ってしまった秋もたけなわ
