Floss or Die (フロス オア ダイ)

何やら怖いこのキャッチ!はアメリカ歯周病キャンペーンのキャッチコピーです。昨日久しぶりに、健康番組の中で某歯科大学の教授がおっしゃっていました。
実はこの言葉 1998年歯科予防の研究会が立ち上がって間もなく、アメリカから来日された先生のお話の中で知りました。「なんと恐ろしいことを言うのだ!アメリカという国は」というのが正直な印象でした。何しろ、1998年予防の発会式で「虫歯も歯周病も本来稀な病気である」と講演で聞き、椅子から転げ落ちるほどの衝撃でしたし、その後当時所属していた予防の会から、歯科検診で欠かせない探針は「「柔かい歯を傷つけるので使わない」とマスコミに発表し、当時センセーショナルで議論を巻き起こしたものでした。その後虫歯・歯周病の病因論(なぜそうなるか)が明らかになりそれとともに、原因菌が特定されたものの、まだまだエビデンス(裏付け)が十分でなかったこともあり、右往左往する中にあっても、世界中、特に北欧・アメリカから沢山のデーターが出てきて、今日の予防のレベルになってきました。日本ではご存知の山形県酒田市の熊谷崇先生の、開業医としては驚異的なデーターが世界の歯科界でも注目されています。考えれば今から15年前に歯科の予防の研究会で、海外から帰ってきた先生方が「ストレプトコッカスミュータンス」「・・・コミタンス」「アプチノマイセス・・・」「ジンジバリス・・」「うん?人事?」こんな無知で何も知らない私たちは、原因菌の名前をそらでスラスラしゃべる若いドクターたちに煙に巻かれた状態で聞き入ったものです。ましてやフッ素のことをライオンの研究者さんに教えていただいた時には、「エッお紅茶にも・エビにも・海水にも入ってるんだ」といったびっくり状況で、セミナー終わるとみんな発表した研究者に列なして教えていただいたものでした。
それが今日では、あちこちでメーカーが商品の宣伝かねて、脱灰・再石灰化からフッ素の働きまで教えてくれ、随分と予防の意識も高まって隔世の感があります。
でも、フロス(デンタルフロス)に関してはどうでしょうか?まだまだ歯ブラシだけでなく、毎日フロスを使っている方・習慣にしてらっしゃる方は少ないと思われます。元に戻りますが、歯周病菌として有名?(代表選手)なPG菌(ジンジバリス菌)は本当に要注意なのです。PG菌はインシュリンの作用も下げるので、歯茎はおろか体の炎症物質を増やしますから、高血糖により免疫下がって血管ももろくなります。血管の中に入ると血液を固まらせるので、動脈硬化・すなわち心臓病に直結します。誤嚥性肺炎と言って、肺に入り大変危険な状況になります。この悪玉中の悪玉PG菌をやっつけるのに、普段のお手入れにぜひデンタルフロスを活用いただきたいのです。フロスについてくるべとべと汚れが取れ、柔かい歯ブラシで歯と歯茎の際を小刻みにブラシをあてれば、かなりの汚れは取れます。そのうえで定期メンテナンスで、歯科衛生士に歯周ポケットを検査してもらい、時にはデジタルレントゲンで、骨の吸収を調べておけばまあまあ大丈夫でしょう。でもその前に三度三度のお食事に、かむ回数の多いものをとって、よく噛み唾液を出すように心がけましょう。噛むことはお掃除することと同じです。日本食は昔から「口中調味」と言われておりました。お食事ってゆっくりかむと素材の味がわかり、大地の恵みに「美味しいなあ」と幸せになるものです。噛めばお口の中の免疫も上がると思います。お口の中の取れる汚れはちょっと手間かけても取り、あとは守る。やろうと思えばできることばかりです。小学生の時歯を赤く染めて必死に歯ブラシして落としたこと覚えていませんか?汚れはつく、だから落としておく。お口の中は体の一部だから「病気の連携」しないように心がける。簡単な理屈です。明日から歯ブラシにプラスして「フロスやってみましょう」と一人でも多くの方に伝えたいものです。フロスした後の爽快感は、やらないと気持ち悪い・・・と言う風に変わっていきます。口臭のないすっきりしたお口で美味しくいただき食べることを楽しみましょう。大きなお口で笑いましょう。元気にはっきり話しましょう。「フロスをしないと死にますよ!」そんなこと言われないように。でも歯周病菌をなめたらいけません。本当に怖いのです。だから怖がっていないでやることやれば大丈夫よ!と患者さんにお伝えするのが歯科の役目です。長い説明でした・・・。読んでくださってありがとうございました。フーッ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です