日々の生活 あふれる可笑しさ 朝日歌壇「番外地」

思わず笑ってしまった!朝日歌壇の選には漏れたもののユーモアにあふれた秀歌が年に一度紹介される「番外地」まずは誤読部門から。言葉に敏感な作者たちはこんな風に鮮度のいい言葉を、見つけている・・とあります。 以下選者は 川野里子さんです
 
 ☆啄木をブタギと読みて嗤われし吾も年老いてじっと手を見る  
清水基義

分かる。私も子供の頃そう読んだから。清水さんは充実した人生を送られ、あんな失敗もあったと微笑みながら自分の手を見ているに違いない。日本語は微差が大差になる言葉で、こんな誤読もある。

 
 ☆「生(い)きくらげ」こりゃまたなんとよく見れば「生(なま)きくらげ」が売られています
                    太田千鶴子
生きたままの水母(くらげ)が売られていたらさすがにぎょっとする。いつもの八百屋で起こる小さな事件だ。こうしてみると日々の生活は笑いの宝庫だ。笑わせようとするのではなく、大真面目だからこそ生まれる可笑しさがある。生活部門の作品

 
 ☆「新聞を取っていない人がいるそうね。天ぷらはどうするのかしら」と叔母  上田結香

一瞬何のことか思ったが、叔母にとっては新聞ではなく新聞紙が問題なのだ。確かに油をよく吸う。叔母の生真面目な表情が可笑しい。このところの物価高も笑いになる

 
 ☆父親はよく自らの病名をキーパーソンと自慢してた  脇本俊雄

「キーパーソン」に似ているのは「パーキンソン」だろうか。自らの病気を笑いに変える人間力がすごい
                 
これら朝日歌壇「番外地」 選者・川野里子さん

何度も何度も、どの歌も思わず笑ってしまいましたが、三番目の天ぷらと新聞紙には、年齢がバレますが昔のお台所の情景が目に浮かび、思わず天ぷら油のにおいまで思い出したことでした
そういえば先日テレビに浅草の雷門が映った時、天ぷら屋さんの看板が映って、そういえばあちらの天ぷらはごま油だったっけ・・など、秀歌に笑わせていただきながら、父と一緒に食べた天ぷらのにおい、ご飯に浸みた天つゆの味まで思い出し、言葉の鮮度ってすごいなぁと感じ入りました

今年はテレビで「舟を編む」、三浦しをんのドラマにくぎ付けになりました、言葉って本当にすごい!
言葉ってとても素敵!だから言葉は大事につかいたいなぁ~と、あらためて思う猛暑の後の今日この頃

気がつけば、あちこちに水引草の赤い小さなつぶつぶが風に揺れ・・
めずらしく、遅れて彼岸花が咲いています

After you

 今年はことのほか暑く!と言うより猛暑の連続だった・・
その夏の盛りに、茶道裏千家前家元の千玄室さんが亡くなられた、102歳でらした

茶道を通して平和の大切さを訴え続けられ、その背中を押したのは、第2次世界大戦で特攻隊員となった経験だったと伺う。戦友たちは次々と出撃して帰らぬ人となったが、裏千家の跡継ぎだった千さんには特機命令が出た。生き残った者の責務として、お茶を通じて世界の平和協調を訴えた。
提唱した「一盌からピ―スフルネスを」の意味を問うと、「世界中の人々が、お先にどうぞ と勧め合う心で一緒にお茶を飲む。一歩でも半歩でも自分が下がるという気持ちを持てば、けんかにならないということです」

徹底して行動することにこだわられた。国内外で献茶会の亭主をお務めになり、100歳を超えてなお海を渡り「平和、平和と言ったって、平和になりませんよ」と上っ面だけの態度を批判なさり「はっきり言ったら、みんな平和ぼけしてますわ。私はね、一番それを危険に思うの。いつ死んでもいいけれど、死んでも死にきれない」。その言葉を残されて旅立たれた・・と評伝にあった。

「After youですよ」折に触れ言ってらした言葉、テレビなどで毅然とされた、穏やかな、そして張りのあるお声が耳に残っています・・

After you・・

 

AYA世代

このブログでもご紹介させていただきましたが、昨年1月「ケアを紡いで」という映画上映と周術期口腔ケアの講演会をさせていただきました。映画「ケアを紡いで」はがんに罹患した現役ナースの自主映画で、いらしてくださった多くの方がそのナースがAYA世代ということで、様々困難に突き当たる現実初めて知りました・・という感想を上映後多くの方から頂き、周術期口腔ケアと共にご案内してよかったと思ったことでした
そうしたらお盆休み明け、こんな投書が新聞にあり目を止めました、ご紹介します

☆若年がんでできた履歴書の空白
       大学院生 サラ・クローリー(東京都 29)
15~39歳の「AYA世代」のがんを知っていますか。私は母国アメリカにいた4年前。25歳で白血病と診断され、骨髄移植を受けた
特につらかったのは、3年ほど働けなかったことだ。友人は就職したり仕事で昇進したりしていたが、私は治療に集中しなければならず「脱落」した。結果、履歴書には3年間の空白ができた。回復後、改めて就活を始めたら、採用担当者はその空白を消極的に捉えているようだった。取り戻すために大学院に入り、留学経験のある日本に再度留学して専門性を高めることにした
こうした体験はAYA世代では珍しくない。がんを乗り越えたのに、どうして希望する生活に戻れないのかと考えてしまう。だが、だからこそ得られたユニークな視点や強い信念もあるはずだ。私なら、粘り強く、仕事をやる気にあふれている。こうした利点を理解し、チャンスを与えてほしいと思っている。

関わっている小児がんの患者さんも、治療成果が見られ、学校に世の中に復帰したのにAYA世代になってから再発・晩期合併症などで進み始めた道が頓挫することも多いと聞く。治療中でもご理解が深まり、通学、学校生活や働き方を考慮頂ければ、通えたり仕事できる場合も多い
少しでも多くの方に知っていただいて、行政の理解が深まること、支えあいへの道が開かれることを心から願います
 

ヒヤリングフレイル・続き

先日掲載しました「ヒヤリングフレイル」
そのあと、タモリと山中伸弥先生の「認知症克服のカギ」最先端の認知症研究でもやっていました。実は身近な感染症がアルツハイマー病などのリスクになっていた・・との衝撃的な内容でしたが、その中に「難聴」ということも重要視されていました

確かに「難聴」は認知症のリスク高めるらしいです
なぜなら、聞きにくくなるとついコミュニケーションのチャンスが減ったり、そのせいで輪をかけてコミュ力が落ち、の繰り返しのうちに脳の刺激が減るというものです
ですがこのような加齢性難聴も、先日ヒヤリングフレイルでご案内した「最新の補聴器」を使用することにより、かなりの改善みられるとのことでした
さらに聞きにくいから、コミュニケーション不自由になり、なのでしゃべらなくなり、の悪循環が社会的孤立となり、孤独感を感じると認知症のリスクは2倍にもなるそうです。他者とのつながりが十分でないと感じる、この孤独感を認識するうちはまだいいですが、それが日常になると大変です
買い物に出ておしゃべりする、お散歩に出て、出会った方と何気にお天気の話、咲いてるお花の話などをしてみる・・できたらいいですね

そう考えると、ワンちゃんと暮らすという、伴侶動物の効用も最近評価されてるようです。そう言えばかつて犬を飼っていた時、お散歩に出れば必ずと言っていいほど他の飼い主さんや、通りがかりの方にお声がけ頂いて、つい立ち話でしたね。ほとんど皆さん互いにわが子の自慢話でしたが・・
ただ高齢になってから、いざ!急に自分でワンちゃん飼うのも大変ですから、そういうチャンスを見つけて出かけたり、また会話のチャンスはあるかもです・・
今自治体でも、そのような場を設け、集まっておしゃべりする機会を提供し始めていますね。子供と高齢者が一緒に集う場を作っているところもあります
何気ないおしゃべり、推しを持つ、なんでもいいから夢中になること、笑うこと、耳だけでなく五感を生かして、何かと関わり持つことが大事かもです

もういいや!って、扉も耳も閉じてしまったらもったいないですね、なにがしかやってみましょう、周りの方に「教えて~」って甘えてみましょう

番組の途中で、アリを一匹一匹にすると、すぐ死んじゃうんですよ・・にドキッでした

ヒヤリング・フレイル

たまたま休日、まだ寝てたいなぁ~と思いながらつけたテレビ。
「自然とテレビの音量大きくなってませんか?」の言葉につられてみたら、
「ヒヤリング・フレイル」と。エッ!それって難聴!?

オーラルフレイル(お口の)があるんだから「耳のフレイル」も言われて当たり前だわぁ~と居住まい正して拝聴。聞けば・・

・大勢で話していて聞きにくいことありませんか?
・体温計のピッピッの音や、冷蔵庫のドアが閉まってないサイン音などの高温が聞こえない
・聞きにくいから、しゃべる声が大きくなる
・テレビの音が知らずに大きくなってて、家族にうるさい!とよく言われる
・聞きにくいので、聞き返すことが多くなった等々

最近よく言われる認知症にも、聞こえの悪さは響くらしい・・!大変だぁ

特に高い音の聞こえが悪くなるのが加齢性難聴と言われ、耳の中の有毛細胞がはがれて減少するのが原因らしい。是非に標準純音聴力検査を受けてほしいと番組で言ってました。(そういえば、先日ドックで私も指摘されたっけ・・)

普段の生活の中でも、例えば7時と1時を間違えたり、こういう場合も「夜の7時」と言ったり、「昼間の1時」といったりして、意識してはっきり話す努力も効果的だそうです

又、他によく言うメタボ・動脈硬化が蝸牛に行く血流を下げ、有毛細胞に悪影響だったり、ストレスも血流悪くなって聴力に響くとも言ってました
最近よく目にする若者のイヤホンも、一日中つけてると、やはり有毛細胞によくないそうで聴力は落ちるそうです

でも最近補聴器がずいぶん進歩していて、逆立ちしても落ちない耳穴式補聴器や、一人ひとりの音質・音域を合わせる補聴器などもでているようです、ホッ!
補聴器をうまく利用して、音楽流れているお店でも会話が聞こえるようにして、コミュ二ケーション力の低下を防ぎ、孤独感増すことなく、又認知機能を落とすことなく、手だ手はありますとのことでした
さらに自治体に手厚い助成制度が出来てきてるそうです

年だからしょうがない・・でなく、聞こえにくくなると、思いがけない行き違いにもなりますので、まだ大丈夫と言わず、聴覚検査してもいいかもしれませんね
いい番組を見ました

カナカナぜみが遠くでないた
ひよこの母さん裏木戸あけて
ひよこをよんでる・・ごはんだよぉ
やっぱりおなじだおなじだな

ちらちら波に夕やけゆれた
目高の母さん小石のかげで
はよはよおかえり・・ごはんだよぉ
やっぱりおなじだおなじだな

サヤサヤ風が笹の葉なでた
こねこの母さんあちこちむいて
おいしいおととで・・ごはんだよぉ
やっぱりおなじだおなじだな

         作詞・サトウハチロー 作曲・中田善直

山村暮鳥に「ある時」という詩があると、八月のある日の新聞『うたをつないで』大岡信と言葉の力 というコラムにあった

「また蜩のなく頃となった/かな かな/かな かな/どこかに/いい国があるんだ」不惑の年齢で没する1924(大正13)年12月に校正の段階まで進んでいた詩集『雲』に収録され、詩集は翌月に出版された
虫の声に触れた詩で、この詩ほど印象深い作品はない、視覚の働きがほとんど後退し、聴覚が突出している。自然に聴こえてくる人間以外のものの声に耳を傾ける。すると、声の向こうに、ここではない別の場所がぼんやりと浮かび上がる・・と

昨今のように、また今年の猛暑のようだと、うるさいほど鳴いてたちょっと前のようには、蝉の声は聞かない。ひところはアブラゼミ、ミンミンゼミなどがまるで合唱でもするかのように、うるさい位鳴いていたのに・・
ましてやこの詩にあるカナカナゼミ(蜩)って、いつ鳴いたっけ?と思い出さないくらい忘れてしまった・・。蜩が鳴くのは早朝だったか?夕方だったか?
カナカナで一日のはじまりや終わりを知らせてもらっていたように思う

久しぶり蜩という漢字を見て、その存在すら忘れかけていたのに、小さい時歌ったサトウハチローの歌を思い出したのには、自分でもびっくりした・・
たしか題名は「夕方のおかあさん」だったと思う
中田喜直の歌、大好きだった

60代独身女性 職業欄の肩書は

60代の独身女性が職業欄を書く際に「主婦」でよいと言われた経験を新聞に投稿された方に、多くのお便りが寄せられたそうで、それを読むといろんな事が見えてきました

もとはこのような投稿です(要旨)

・とある申込用紙に商業欄があり、4月からアルバイトを始めるので「アルバイト」と記入したら、担当の若い男性が「主婦でいいんですよ」と言ったそう。結婚してないし、主婦はどうなんだろう、自分は定年退職し所謂、無職の身だと。その時、結婚してるしてないに関わらず、家の事をしているって「主婦」又は「主夫」では?と思ったと
最近の投稿を見ると「年金受給者」「元〇〇」という肩書も。自分に置き換えると「元会社員」「休職中」。もしかしたら私も「主婦」なのか?家事はしている。一人暮らしでも生活はしている。独身でも主婦。皆さんはどう思われますか? (川崎市 佐野ときえ 検討中 62歳)というものでした

これに対し兵庫県66歳の方。現役時代は何の迷いもなく職業欄に「会社員」と書いた。定年直後に「無職」と書くことに一抹の寂しさを覚えた
職業欄を「生活の糧を得るための生業」と考えると今の自分は「年金受給者」?と思う。「ただ、無職と記入する時の、どこにも帰属していない、なんとも言えない解放感も捨てがたい

携帯電話の契約カウンターで似た経験をした60代の方
自分自身は「専業主婦」の分類と思ったが「無職」にチェックしようと思ったら有無を言わさず「主婦ですね!」と言われ違和感覚えた。自分と同じ年恰好でも、定年退職したばかりの無職の男性には「主夫ですね」とは言わないだろうと思ったから
「家事は女性がやるものというという感覚が、未だ世の中にはあるのでは」
しかも家事は社会的、経済的な営みなのに、「主婦という言葉の中には”社会や経済から遠い存在”のような古いイメージがこびりついている」とも感じる。世の中の意識が変わって「主婦」の言葉が自然消滅することを、期待していると言う

60代の独身女性が職業欄を書く際に「主婦でよい」と言われた経験を投稿なさって、「皆さんはどう思われますか」と問いかけただけで、こんなにさまざまなご意見が集まったんですね。興味深く読ませて頂きました

最期に男性からの投稿もあり、71歳の岩国市の方は「家守」と称し、読み方は「かしゅ」「やもり」どちらでもいいそうです。縦のもの(家事)を横(ハウスキーピング・ハウスキーパー)にして、再度縦にしたらこうなったと・・
役所などの「正式な」書類は仕方ないので「無職」。炊事洗濯、子どもや高齢者の世話と言った、世の中で産業になっていないことを家でやっているだけ。だから「無職」は違うんだけど、と思いつつと。

いろいろな思いをもって、さまざまなやり取りとお考えを拝読しました
私も「主婦」「無職」「元何々・・」モヤモヤです。気持ちがモヤモヤなので、文も何だかなぁ~歯切れの悪いことで失礼しました
仕方がナイチンゲール(笑)