「違う」と言う機会 (季節の地図 柴崎友香)

少し前なのですが、興味深い記事があった。以下にご紹介します。

仕事をしていると必ず経験することに、自分の仕事ではないことを頼まれる、納得のいかない指示を受ける、があると思う。私自身、会社勤めをしていた時にしばしばあった。頼む方は「ちょっとやっといて」と言う感じかもしれないのだが、その度に理不尽な状況に疑問を抱いたり、このやり方にするとかえって面倒になるのにと悩んだりした。

一つ一つの業務はそれほど大きな負担ではない。それに対して私は、異議を申し立てたり違うと言ったりしたことはほとんどなかった。立場が上の人に向かって交渉するよりも、黙ってやっといた方が早く済む。年齢も下で権限もない自分がつべこべ言ってはいけない、いつか周りの人が解決してくれるのでは、などの気持ちもあった。

それが間違っていたことに気づいたのは、自分が辞める時だった。後任の人に引継ぎをする段になって、自分が引き受けてきた仕事は全部、その人がやらないといけないのだとわかった。前任の人はやっていたとなれば、その仕事に異議を申し立てるのはますます難しくなるだろう。最初にその仕事を頼んだ経緯は忘れられて、前からそうなっている、と物事は進んでいってしまう。自分にも「正解」がわかっていたわけではないけれど、質問すればよかったこともあるし、話し合えばもっと良いやり方がみつかったかもしれない。

違いますと言うべき時に言えなかったことの後悔がある。業務をやることになったとしても、なにかのやり取りがあれば次の機会は変化があったかもしれない。

何も言わなければ、それでいいと思われてしまう。

仕事だけでなく、家族など身近な人間関係でも、社会のもっと大きなことに対しても、通じる事なんじゃないかと思っている。
そして「その時言わなかったからもうダメ」と言うことでもなく、気づいた時に異議を申し立てていいし、そのとき自分ができることをできる限りやっていくのがいいのだと思う。

 わが身にも、小さいけれど大きな気づきをくれた記事でしたので、ご紹介しました・・。