パルスオキシメーター

一見、大きめの洗濯ばさみのよう。人差し指の先端を挟むとすぐ血中酸素飽和度が表示される、「パルスオキシメーター」と呼ばれる小さな機器、三年に及ぶコロナ禍で、どなたもお世話になったのではないでしょうか?

この原理を考えたのは日本の技術者であったと、新聞で知りました。
青柳卓雄さん。新潟に生まれ、発明家になる夢を抱き大学で工学を修め、島津製作所を経て日本光電工業入社。「ユニークなものを作れ」と上司に言われたそうです。

麻酔科医との会話がきっかけで、動脈血の酸素濃度を簡単に測れる装置の開発に打ち込み、当時は採血しなければ酸素濃度は読めず、患者さんの顔色で判断してたそうですが、青柳さんは拍動を利用し、動脈血だけの信号を取り出すことに成功、連続測定を可能にしました。

しかし大発見でもすぐに光が当たったわけでなく、米国で麻酔中の酸欠問題が問題化した80年代、有用性が理解され企業が相次いで製品化し各国に広まり多くの命を救ったそうです。

晩年まで改良に尽くし、2021年4月に84歳で死去。米紙は長文の訃報を載せ、日本光電の小林直樹特別研究員は「論文を書くより、役に立つものを作りたいという根っからの技術屋でした」と。又その死を悼んだ米エール大学の名誉教授は、青柳氏を2013年のノーベル医学生理学賞の候補に推薦したとの秘話を明かしたそうです。

全国で10万人超が自宅療養と言う名の「自助」を強いられたこの三年のコロナ禍で、パルスオキシメーターは私たちの命綱となりました。日本国内でももっと評価されるべき発明であろう・・と記事は締めくくっています。我が家でも大変お世話になりました。