オフィスグリコがあった時代から・・今

久しぶりに「オフィスグリコ」の名を新聞で見て、懐かしいなぁ~と。

と言うのも1998年日本で初めての歯科予防の会が発足し、むし歯の成り立ち・原因、むし歯も歯周病も細菌による感染症!という新たな見解にひっくり返る騒ぎになった。

特に虫歯はちょこちょこ食い(頻食)がいけない・・と、甘いものなども食事直後にデザートのように一緒にとり、食事をしたらすぐ歯の汚れを取りフッ素入り歯磨き(950ppmf・当時)で磨く。食事と食事の間はあける。何も食べない時間を置くことにより、お口の中の環境は修復される→むし歯・歯周病になりにくくなるというものだった。

そのしばらくして、菓子メーカーのグリコが、「オフィスグリコ」なる自販機が希望する会社に設置され、いつでも!好きな時に!食べたい時に!お菓子が食べられる!とニュースに出たものだから、予防の会は色めき立った、よく売れるお菓子は欠品にならぬよう、こまめに補充されると言う。何でも仕事中に「甘いものが欲しくなった時に、すぐ食べられれば仕事の効率も上がる!」と言う宣伝だった。甘いものは仕事の効率を上げるとまで言われた。
たいして需要もないだろうと我々は思ったが、評判を呼び、常設する会社が結構あり、今でも継続していると聞く。

何十年ぶり?久しぶり新聞に「オフィスグリコ」の名を見つけ、何と今度は「企業などのおフィスに、お昼のお弁当を配達するサービス開始」とのこと。一食当たりの糖質を40g以下に抑えたメニューが売り、健康志向の高い働き手のニーズをつかもうとの狙いとある。

アプリを通じて朝9時までに注文するとお昼までに職場に届く仕組み、ただし法人の利用に限る由。何れにしても職場向けの置き菓子販売事業「オフィスグリコ」の配送網を使うらしい。手始めに大阪から始め、首都圏に拡大するという。

「オフィスグリコ」がこのような進化?を遂げている間に、虫歯の状況も随分変わってきた。予防が進んだ結果、子供の虫歯は減ったが歯肉炎と、大人の虫歯は増えている。大人も子供も予防の観点から定期メンテナンスを受ける人が増えてきたのは喜ばしい。しかしながら高齢になっても歯が残るようになったが、高齢者特有の虫歯が増え、高齢者は不自由し、介護現場で違う悩みを増やしている。
そのむし歯の処置はかなり大変で、高齢になると全身疾患のリスクを増すので、歯科として出来る処置が限られる、ましてやご自分で口腔ケアが十分にできる方ばかりではない。憂慮される事態にもなってきた。でも食べなくてはならない。

超高齢社会の今、自分の口で食べられる幸せを考えた時、たまたま読んだ「オフィスグリコ」の記事から、いろいろ考えてしまった夏の終わり。気がつけばあんなにジージー言ってたセミは姿を消し、いつの間にか虫の音が聞こえ、水引草や吾亦紅の風情に、ホッとする季節になった。

コロナで、配食サービスが増え、街中にキッチンカーがみられるようになった。コンビニに行くと魅力的なデザート満ち溢れ、コンビニのおかげで、今ではいつでもどこでも、誰でもオフィスグリコ状態。

「いつでもどこでも」は忙しい時には救いでもあるが、違う面もみせるのだと、考える余裕ももちたい。

「便利」は何かを失うような気もしている・・。