お大事に症候群

震災後10年を迎え様々報道される中で、未だお身内が見つからない方、生活もままならない方、声にならない悩みを抱えておられる方など伺うと、日々普通に暮らせ、愚痴こぼしたりわがまま言えてる自分が恥ずかしくなります。

様々な分野で復興が進んでいるようですが、ある基礎研究してる大学の先生が、震災後、放射能の心配あってなかなか農業に復帰できない方たちに、ある植物の育成を進め商品化にこぎつけているテレビを見ました。普段ラボにいる方が、このような積極的な取り組みを推進する姿に感動しました。

震災当時、体育館などの床に、マットも引かれてない床に、被害受けてやむを得ず集う人々を報道で見涙しながら、高齢者を中心に「お大事に症候群」が増えているなどと、ブログに上げさせていただいた私は、今10年経ってとても恥ずかしく思っています。その時、家を壊され、流され、着の身着のまま命だけ助かった方たちの気持ちも考えず、失礼なコラム書いた・・と。
動かないと、体を動かさないと、歩かないと・・動けなくなる「お大事に症候群」になるなど、その身にならないのに随分安直に物言ったものだと大いに反省しています。

たしかに、動かないでいると動けなくなるのは、今「フレイル」と言ってとても危惧されている状況です。ですが、あの未曽有の震災では、命からがら避難所にたどりつくのが精一杯の人々の気持ちをちっとも察していなかった・・と反省しています。

10年経った今、避難所の床に寝るのはどれほど辛かろう・・と、段ボールベッドや様々開発され、先日その担当者が、床に寝ていたのでは、トイレに起きるにしても立ち上がるのが難しかっただろう、ましてやお一人のスペースも満足にない状況で・・と。なので段ボールで頑丈な土台をつくったベッドなら、起き上がるのも、降りるのも楽だし、寝返りも出来る、そうすればトイレにも起きやすくなるし、動くようにもなり、生活不活発病(お大事に症候群)は減るのでは?と言ってらっしゃって、ハッとしました。

この震災を踏まえてさまざま商品開発するには、便利さだけでなく、その当事者皆さんの現状、更に「おもい」を想像し、理解しようと努め、それこそ寄り添わねば絵に描いた餅なのだと知りました。

過去に「お大事に症候群」にならないよう気をつけましょう!等と簡単に言ったわが身を恥じ、その場にならなければわからないことが多いのだと知りました。
同情するのでなく、想像力と思いやりを携えて進めなければならないと心に留めました。震災後10年の今日この頃です。