広がる耐性菌の脅威(薬の多用が抵抗力を生み)

「風邪ですが念のため」こんな風な抗菌薬の処方の仕方が、急速に見直されています。抗菌薬は”風邪に効かず、副作用のリスクがある”と言います。さらに不適切な使い方が、世界的な脅威となっている”耐性菌”生みだし、増やすことにつながるためです。

私共歯科医院で拝見する口の中には、腸の中にもいる普段は無害の常在菌もいます。常在菌でも病気で抵抗力が落ちたり、けがや誤嚥で菌が別の場所に入り込んだりすると、重い感染症の原因になります。

抗菌薬には、使えば使うほど、抵抗力の強い菌が生き残って増えてしまうというジレンマがあり、薬胃の開発と耐性菌の出現のイタチごっこと言われます。

もうすでにインフルエンザが流行り、予防接種も始まるようです。
実際日本では、風邪で医療機関を受診した約半数の人に、風邪に効かない抗菌薬(抗生物質)が処方されていたという調査結果があり、約半数の近くの人が、抗菌薬が風邪に効くと考えていたそうです。

★抗菌薬は、細菌が標的で、風邪やインフルエンザの原因になるウイルスには効かない!(風邪と他の細菌感染との区別が難しい時・患者が薬を求めた時に処方されることも珍しくないそうです)

また、10代以上の688人にインターネットを通じて実施した調査によると
抗菌薬が風邪に効果があると誤解していたのは→46%

抗菌薬がウイルスをやっつけると誤解していたのは→64%

そして過去一年に風邪で受診した278人に聞くと53%が抗菌薬処方でした

これから風邪の季節。既にインフルエンザも出て学級閉鎖もあります。
どうぞ皆さんも、風邪で受診の際、このことを忘れず、薬が出される時には「その薬は必要ですか?」と聞くのも一つの方法です。

「患者は黙って出された薬を飲めばいいんです」などと仰る先生はもういないと思いますが、「何の薬で、どのような効果がありますか?」と患者さんが聞くようになった時代です。

「念のために出しておきましょう・・」これは今、急速に見直されています。当院の近くの薬局の薬剤師さんも、アレっと思ったら処方した先生に問い合わせしますよ!と言う時代になりました。

先生方とコミュニケーションよくとって、不必要な薬の多用は、他の作用を引き起こすことを念頭に置きましょう。私共も外科処置後の投薬も、必要最小限にしております。患者さんの状況にもよりますが、人間のからだには立ち向かうご自身の力もあるからです。

やみくもに薬を飲むな!と言ってるのではないことをご理解いただければ幸いです。

朝日日曜版より