キャッチボール

夕刊に載った何やら箸袋に書かれたメッセージ。
読めば、新座の中学生が、修学旅行の際宿泊した旅館の食事の席で、箸袋に残した「ありがとう」「お世話になりました」のメッセージらしい。
随分粋な中学生だなぁと感心して読みながら、私もあることを思い出した。
何年前だったろうか?親族が地方で入院することになったが身内は同室に付き添えない。やむを得ず送迎バスがある小さなホテルに暫く滞在した。
朝病院まで送って貰い夕方ホテルに帰る日々。

「お帰りなさいませ」と迎えられ部屋にたどり着くと、キレイに掃除された室内の鏡の前に、小さな折り紙と共に「お疲れさまです。今日は○○がお部屋を掃除させて頂きました」のメモ。小さな細やかな折り紙を手にとって涙がポロリ・・でした。誰かが見守って下さるような感覚・・。

患者本人ではなく単なる身内の付き添いなのに、知らない土地でこんなさりげない温かいおもてなしを受け感謝感激でした。当院の患者さんにも、あらためて、このような小さな心づかい、大事だなぁと思ったことでした。

翌朝フロントに一言お礼をと思ったら、その前に「おはようございます。ゆっくりお休みになられましたか?」の明るくさりげないご挨拶。
小さな細やかなお心遣いと相まって、ホテル全体が闘病を支えて下さってるのだと知りました。おかげさまでその後病人は順調に回復しました。その温かさは送迎バスの運転手さんにも感じたことでした。

ひょんな新聞記事から随分前の感謝の出来事を思いだし、コロナで対面の会話がない時間を過ごしているだけに、中学生の箸袋メッセージはお世話下さる方々の心に触れ、ご苦労も報われ、それはそれは嬉しかったことだろうと思いました。

すべからく、気持ちのキャッチボール。
行ったり来たりですね。