「考える腹」は幼少期に育つ・腸の花畑に栄養を

消化器官に生息する100兆もの細菌たち。彼らを元気にさせるには、みそやしょうゆ、納豆などの伝統的な発酵食品がいいらしい。「腸は第二の脳」とも呼ばれる。もうご存知かと思いますが、このお話は、食と旅専門のジャーナリスト。マイケルブース氏のコラムからの抜粋です。

食の世界で今最も熱い話題と言えば、どこそこのシェフの・・でなく、もっと本質的なもの。細菌です。私たちの消化管には約100兆個もの細菌や微生物が生息しており、元から身体に備わる細胞の数を優に上回っています。言ってみれば、自分を自分たらしめている細胞より多い細菌を連れ歩いているわけです。

最近は、この菌が脳の働きと無関係でないことも科学的に理解されつつあります。

「虫の知らせ」を英語でgut feeling(gutは腸)と言うけれど
これはつまり「考えるおなか」が仕事をしているってことなのか。何かを決めるとき、冗談で「おなかから指令が出ているんだ」などと言ってた私だが、もはや冗談では済まない。食の話と何の関係があるんだと、皆さんは急に言われてさぞ不思議なことでしょうとマイケルさんは言ってます。

当院HPにも「腸内フローラ」の記事は随分前に掲載済みです。この腸内フローラ(マイクロバーム)についての新たな知見は、食生活への一層の関心を呼び起こします。塩素消毒水・化学添加物・過剰な抗生物質もまた、腸内フローラに悪影響を及ぼします。

こうした意識の変化に伴い、プロバイオティクス(生きたまま腸まで届く微生物)の評価も高まっているようです。
小さな容器に入った甘いだけのヨーグルトより、もっと伝統的な発酵食品に含まれているようです。これらは消化器官の中で、乳酸桿菌や乳酸菌の働きを自然に高めてくれると言われます。

日本の伝統的食材、それもみそやしょうゆ、納豆にとどまらず、塩辛や鮒ずしといった魚介系発酵食品のファンには朗報でしょう。

ザワークラウト(乳酸発酵させたキャベツ)にキムチ、更にはチョコレート(甘すぎなければ)やチーズ(できれば生乳つかったもの)までもが、肥満や糖尿病、うつ病を治すのにも一役買ってくれるかもしれません。
何れにしても、心身のバランスを整えるために腸が必要とする細菌を含んだものが。身近に沢山あります。

だが、こうした食品の日本人の消費量は、特に若い人の間で減っています。そして悩ましいのは、人生の大半を共にする嗜好や味覚が養われるのは、幼少期だということです。従って腸内細菌が好みを形成するのも、この頃なのですとマイケルは述べています。

子どもの嫌いな食べ物を口車にのせて食べさせるのはよくないといわれますが、一方で、昔からある自然食品を出来るだけいろいろ食べさせるのが、親のつとめだという厳しい現実もあるようです。

幼い頃からその味に親しんでいない限り、大人になってから好きになるには相当の努力を要します。味を知らなければ、「考えるおなか」が郷愁を呼び覚ますこともないのです。

腐った魚の味に郷愁を誘われるなんて、私(英国生まれのマイケル)からすれば理解に苦しみますが、それが日本人なのだろうと述べています。私的には日本人でも、そのようなものに慣れてない地域の人も多く、マイケルさん言うように、小さい時に食べていないと、ベロがなかなかいうこと聞きませんね。ベロの記憶にないと・・。逆に小さい時から何気に口にしていれば、どうってことはないのです。要するに、味の記憶ってすごい重要ですよね。

アメリカの野心あふれる病院では、他人の便を腸内に移植する試み迄始まっている。食コラムにあるまじき着地点となっってしまった。どうかお許しを・・。ととんでもない最後の文で締めくくっています。  マイケル・ブース