侮れない糖尿病

メタボリックシンドロームという言葉が登場してからずいぶん経ちました。当時は高血圧・糖尿病・心臓病・肥満と予備軍という言葉も広まり、死の四重奏とまで言われました。腹部が何センチ以上は危険!と脅され、そのころから減塩・とるべき栄養などの食生活、ふさわしい運動、減量などの取り組みが会社などでも始まりました。当院でお薦めしているお口の汚れをコントロールする「定期メンテナンス」もメタボの解消に貢献することがわかってきて、随分とご理解も深まりご家族ぐるみで通われる方が増えてきて、良いことだなぁと感じています。

ところがこのところ、目の具合が・・、だるい・・、血圧が高いだけだったんだけど・・と言った方から「糖尿病」だったという報告が見られるようになりました。先日も緑内障の手術受けますという方に伺うと予備軍と言われた糖尿病がコントロールされておらず失明の危機とのこと。こんなに医療が進んできたのに、なぜもっとこまめなチェックと他科と連携できなかったのかと残念に思います。

自分もたまに病院に行きますと、特に大学病院ですと、細かに細分化されていて、自分の病状がはたして何科にかかるべきなのかわからないことがあります。大きな病院は紹介されての受診が多いですが、いきなりの方にはわかりにくいため、今では総合診療室というところもあり、またサービス科窓口が詳しく伺って適切に受診科を案内してくれるところも多くなりました。でも専門化され過ぎて、一般にはわかりにくいのも現状です。人の体の中は一つですので、各科が連携せねばパーツパーツで医療が施されてしまいます。ですから私達患者側から、今の症状を詳しく話すこと、今までの病歴を伝えること、飲んでる薬を明確にしておくこと等患者としての義務もあるという意識を持ちたいと思います。

1998年、当院も歯科予防の会での活動が始まって来、お口の菌、特に歯周病菌が、心臓、糖尿病と深く関わるらしいとお話しし始めましたが、皆さんからは「エッまさかぁ」と言った反応でした。そのころから、タバコがお口の中に害を及ぼすと知って、禁煙支援も始めましたが、それこそ”煙たがられる”だけでした、それが最近では、TV/マスコミであちこちの先生方がお口の菌と病気との関連を話して下さるようになり、また喫煙の害も病気だけでなく、早産・低体重児出産など具体的にわかってきて当院の患者さんも、「中央歯科さんが言ってたこと、ホントだったね」(笑)とうれしい反応です。いずれにしても、体は一つすべてが連携しています。

随分前糖尿病の勉強会に行ったとき、慶応病院の看護士さんの発表できめ細かい支援を知り、当院の患者さんにもお伝えしています。糖尿病とおっしゃる患者さんには、礼装の時以外、「白い靴下はいた方がいいですよ」とお勧めしています。なぜなら足の指などを家具などにぶつけても感覚ない上、出血したりしても「黒い靴下では出血に気づかないから」です。心配し過ぎかもしれませんが、こんな些細なことが足の指を失う結果になったり致します。それくらい糖尿病は怖いのです。女性だけでなく「フットケアも効果ありますよ」とご案内します。定期メンテナンスにいらっしゃる糖尿病の患者さんには、
お口の定期メンテナンスと同時にホームケアを忘れないこと、糖尿手帳を持参いただくこと等ご協力いただき、喫煙者には禁煙支援をし、歯周病の管理をしながら糖尿病が進まぬように、当院として出来るだけサポートしたいと考えています。お口の中が整うと更に食欲増すので(笑)、食事の取り方などのご案内も嫌がられない程度にさせていただき、大事なことは「早食いしないこと」と美味しいもの大好きの自分への自戒も込めて、丁寧にお話しすることにしています。行動変容といわれて久しいですが、なかなか難しいもの。「応援したいので、そばにいます」そんな気持ちでサポートさせていただいています。毎日美味しくいただけることができなくなったら悲しいことですものね。食べられるって本当に幸せなことだと思います。

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