臨床の詩学

人と心が通い合う。そんな言葉を書いたり、言ったりするのは簡単ですが、けっこう情緒的で、あやふやな状態ではないのでしょうか?だから良いのかもしれませんが、著者の精神医療の現場ではそうもいかず、患者さんと日々相対しながら、考えざるを得ないそうです。著者は産婦人科医から精神科医に転じた方で、臨床経験から書き起こされたので、日常のコミュニケーションや他者理解にも通底する風景があると新聞に紹介されていました。

臨床の現場で、コミュニケーションが成立していなかったように見えながら、何気なく発した「言葉」で心の交流がおこる瞬間が書かれているようです。

例えば入院を拒否する患者さんに、あなたは「苦戦中」だから「援軍」になりたいという一言で、素直になられた例。そんな言葉の多くは、ごく、ありふれた言葉だった、それはなぜか?と多くの文学作品や詩の言葉と対比させながら著者は語っているようです。

ありふれた「言葉」が持つ力。
「言葉」の力とは、なんと不思議なものでしょう・・と紹介されて目に留まり読みたくなりました。春日武彦さん著です。

日野原先生おっしゃるように「医のアート」ではないでしょうか?日々来院される患者さんにどう寄り添っていくか。課題は尽きませんが、先達や今その場で右往左往しながらも頑張ってらっしゃる方々に耳を傾け、努力していきたいと思います。それぞれが皆さんの声を聴こうと寄り添えば、自ずと会話が弾むことでしょう。そうありたいと思います。