はしょる(端折る)

ある日本料理のプロとお話ししていた折、「はしょっちゃアカンのですわ」とおっしゃったのでした。

懐かしい言葉だなぁ、最近使ってないなぁと思いながら、その言葉の響きにグッとなりました。着物を着る際の ”おはしょり”は身近な言葉?です。おはしょりと言えば、和服の丈を折って帯に挟み調整することですが、何気にやっていても、言葉自体は今では素通りかもしれませんね。
そう考えれば、板長さんがおっしゃる「はしょっちゃダメ」のはしょるとは
=省いて短くする・省略する・簡単にする・手を抜く・・という意味でしょうか?

考えてみれば、便利な世の中になって、お出汁をちゃんと取ったり、下ごしらえを丁寧にしたり、湯引きしたり・・なんてことせずに済ましていることもあったりして・・。コンビニが出来た頃は、「えーっ!そんなとこで出来合いのオカズ買うの~?」と思っていた私も、忙しいを理由に、随分重宝に出来合いのお惣菜利用させてもらっています。でもでも、頂いてみると「スゴイ、この値段でこのお味?」というのもあれば、「えーっ!これで!?」みたいな時もあります。自分でお料理するからわかることで、ついつい出来合いのものにご厄介になってしまっていると、ひょんな時、何気に作った炊き立てご飯の塩だけのおにぎりが”涙が出るほどうまい!”みたいな時があります。あっちっちあっちっちと、手の平真っ赤にして握った炊きたておにぎりはそれだけで美味しいものです。

随分前、知り合いのお嬢さんが、ご飯茶碗にラップ引いてご飯を入れ、ラップで丸めておにぎりつくる様子に唖然としましたが、これとて今では普通のことかも?又理由があってしてることやもしれませんが・・

プロの料理人と同じレベルのことをしようにもどうにもなりませんが、せめて言って下さった言葉「はしょってはダメですわ」は忘れないでいたいと思いました。お料理だけでなく、つい、つい、いいやいいやで何でもすましてしまう昨今。私には痛烈に耳に届き、ハッと気づかせて頂いた言葉でした。
こういう時代ですから、はしょっていいこと悪いこと、見極めが肝心と悟りました。