チームミーティング2015

院長 奥富史郎

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爽やかな10月とはいえ、遠く山形酒田の地に、全国からかくもたくさんの歯科医療従事者が集合する。酒田市のタクシーはぜーんぶ庄内空港と東北公益大学の往復に取られてしまうのではないか?と思うくらいの大人数の大移動です。空港で予約した医院の名前をかざす運転手さんの風景は、やもすれば昔の温泉地?でしょうか。

オーラルフィジシアン・チームミーティングもこれで何年になるでしょう。朝4時の自宅近くの羽田行きバスに乗り、朝六時過ぎのヒコーキに乗っていざ酒田へ。9時の開始には全国各地からドクター・歯科衛生士・コデンタルがこんなにたくさん集まるなんて・・!

昨年10月・NHKプロフェッショナルに満を持して登場された、歯科医師熊谷崇先生んのコンセプトに共感し、歯科医療の改革を目指す我々の集合です。もう10年以上のお付き合いになる先生方、最近ご一緒するようになった先生方。どの方もここに来る労をこぼす人などいません。それよりここに来なければ得られない情報以上に、おなじものを志す仲間との「変わらぬ強い絆」を又結びに来るのかもしれません。

来るたび、会うたびに強くなるその絆は、いつも患者さんへの”まなざし”。緊急になってから、困ってから、何かあってからの従来の歯科受診でなく、患者さんのお口の健康、症状なくとも進んでいる歯周病含め、削ることはすぐ必要なくとも初期虫歯などないか?手を下す前に、守れることがたくさんあることをお伝えして、患者さんご本人に気づいていただき、ご自身の健康は自分で守れることを理解頂けるようにし、患者さんと共に問題解決に向かうのが今の歯科医療です。

今回アメリカの先生から、あらためて患者さんご本人が参加して初めて、歯科医療が成り立つという基本的なことが再確認出来、そのために医療者に必要なスキル以外の、大切な要素や知識があらためてわかりました。病気を見ずして人を診よ・・と言われて久しいですが、私達歯科医療従事者の人間も問われていることを痛感しました。

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名だたる研究者や臨床医に混じって、今回初めて歯科大学生が発表されました。聞けば一般職を経験された後、思うところあって人生を考えてらっしゃる時に、熊谷崇先生の歯科医療のイノベーションを知り、歯科大学に編入された方でした。発表内容にも心打つものがありましたが、この世界しか知らない私達にとって、ビジネス社会を経験された後、歯科医師を目指してらっしゃるその孤高な、崇高な思いを伺って感動しました。発表後称える表彰があるのですが、その場も遠慮されたようで、とても謙虚でわきまえた方だなぁと思いました。このようなことは以前でしたら、大学の医局で先輩方が教えたものですが、医局というものが随分と緩やかな雰囲気?になった昨今、このような”礼儀”や”たしなみ”というものを教える人が少なくなったのはとても残念なことです。このことは、インプラントの第一人者・小宮山先生がご発表の中で、強くおっしゃったことに等しく、医療者としての「立ち位置」と言えることかと思います。

すべての発表者から得るものは大きいものがありましたが、とりわけ小宮山先生が、歯科医療従事者としての「たしなみ」をきちんとおっしゃったことは、何より気持ちの良いものでした。ドクターである前に人としてあるべき姿。スタンダードのステキさを存分に伝えて下さって、今だからこそとても新鮮でした。

どんなに新しい情報や新しい器械揃えても、基本がきちんとできていないことには、いかんともしがたい。それは、たった一枚の情報提供の用紙を書くことから、医科の先生にお伺い立てる時に、同程度の知識を持ち合わせているか・・にまで及ぶものでした。刺激たっぷりの2日間でしたが、あとでレポート読めばわかるでなく、あの場で同じ志の仲間と時間と感動を共有することが、患者さんに正確に意義あるものとして伝わる原動力と思いながら帰ってきました。疲れましたがこの心地よい疲労感は、必ずや患者さんに伝わる「大きな力」になると信じています。スタッフの感想文が何よりそれを物語っています。皆様に還元できるように、医院全体で前に進みます。

歯科医師 鎌田 俊彦

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山形県酒田市、普通に歯科に従事していたらどこなの?となるのではないでしょうか?しかし、この場所に全国から多くの歯科医療従事者が、約800人集結した二日間。私にとって、非常に有意義で気持ちの良い時間になりました。

酒田で開業され、全国に予防を根付かせた熊谷先生の考え方が、保険制度は違えどアメリカには既に存在していることを知り、これまで長きにわたり海外の情報を日本に紹介してきた熊谷先生のご尽力を驚きをもって感じ入りました。この講義においてWHY?の重要性を改めて感じ、問題解決型(対症療法)の歯科から予防型の重要性も感じました。後者において患者さんに選択権を渡し問題の原因を患者さんとともに発見し、意思決定させ教育するという流れ。つまり、患者さんは、一緒に参加することで健康が得られる。このことを再確認することができました。また、患者さんにゴールを決めていただき導いてあげる。これもとても大切なことであると共感できました。

小宮山先生の講義では、とても貴重な講義が聴けました。それは、インプラント業界・歯科広告に対する苦言、患者さんの医科の主治医との対診についてなどです。これには今以上の医学的知識が要求されます。そして「慎重さ」は決して「臆病」と同義でない、不安を感じたら一つ前にもどる、温故知新のお話はとても身に染みました。

IL1に始まる歯周病学の講義では、人における免疫の重要さを再認識させられ、さまざまな研究が進んでおり知識の必要性を痛感して、より勉強せねばいけないと思いました。

最後になりましたが、このような貴重な学びと刺激のチャンスを与えて頂いた奥富先生に感謝致します。

歯科衛生士 神子島靖子

2日間、ありがとうございました。チームミーティングも一昨年から3回目となりました。一昨年は「エビデンスに基づく治療」、去年は「歯科界のイノベーション」、そして、今年は「歯科医療の価値」というキーワードでした。

毎回、OPの先生方からエネルギーを感じています。今回、演者となった先生方にも悩みながら診療していた日々があり、私に足りていないと感じていることの参考になりました。

アメリカの保険ではメンテナンスは年2回までの予算の縛りがあり、日本の保険ではメンテナンスを認められていません。つまり、自費診療の問題になります。患者さんが「歯科医療の価値」、メンテナンスを受ける利益を感じでもらわなければ、自費の診療に納得し、通ってもらえません。患者さんとの応対等が重要になってくると思いました。

ボルト先生は初診の患者さんの問診に30分かけ、患者が歯科医療に求めているもの、自分がどの治療を希望しているのか聞き出します。また、患者さん自身にメンテナンススケジュールを考えていただき、10年後はどうありたいかを問うことによって、診療に参加されてるようでした。

歯周病の講演の時にも「参加」というキーワードが出てきました。メンテナンス患者を特定する。ヘルスケアの4つのP①個別化②予測する、③予防する、④患者さん自身に参加いただく・・でした。

それには、患者さん自身が考えてくださるように問いかける、話の仕方が必要になります。オープンな質問をして、患者さん自ら話していただき、そこから大事なことを拾っていかなくてはいけません。

例えば、歯周病の患者さんに現状を伝え把握し、ご自身がどの様な治療を選択し、リスクファクターを減らせるかを考えて実行し、定期的に通院して頂くまでの行動変容に積極的に参加してもらう必要があります。

常に、それぞれのリスクについて考え、何が出来るのか出来ないのか、出来ないのならばどの様に対応していくかを患者さんと一緒に考えて実行していかなくてはメンテナンスの効果がないことを改めて感じました。

今までの私の患者さんの接し方を振り返ってみると恥ずかしい思いです。私は、これが最善で最短の治療と思い込みどんどん進めていたようです。答えばかりを提示して、患者さんに問う機会を見逃し、ご自身について考える機会を無くしていました。初診時やサリバ検査の時だけではなく、毎回のメンテナンス時にも、患者ご自身が気づき、発見し、10年先を見据えた口腔環境について考えてもらえるように、伴走したいと思います。

コミュニケーション、コーチングの力不足を自覚したので、当院にはたくさんの蔵書があるので本を借りて勉強したいと思っています。

今回のチームミーティングに参加するために、院長先生には様々な手配をいただきました。ありがとうございました。今回の勉強を活かして、1歩ずつ進んでいこうと思います。

受付主任(歯科助手)小室 恵

一日目はHumanistic Dentist T.J.Bolt先生のお話でアメリカの保険の仕組みを教えてくださいましたが、夕食時中山先生からより詳しく教えていただき、ボルト先生には伺えなかったことを質問させていただきわからなかったこと、疑問に思ったことも解消できました。

「健康は与えるものではないDrは疾患を払いのけるだけ、患者自身が動かなければならない」という言葉は印象的でした。

そして患者さんに自ら動いていただくには、どうしたら良いのか?それをボルト先生が実践しているやり方を、例を交えながら教えてくださいました。その中で一番大切なのはコミュニケーションだと改めて感じました。アメリカでも日本でも患者さんとの信頼関係を築くのが、最も大変で最も必要なことだと解りました。そのためにはリスクを伝え、現状を理解していただく、口と全身の健康とのつながり、歯科疾患のセオリーに至るまで色々話をする必要があり、ボルト先生は、患者さんの10年後のビジョンまで聞き、目標を立てそれを一緒に達成していくことによって歯の価値をわかってもらうと話していました。

歯の価値というのはやはり失ってから気づく方が大半だと思います。歯を失った患者さんは口々におっしゃいます。「歯って大事よね」「もっと前からお手入れいておけば良かった」と。でも失ってからでは遅いのです!だからこそ私たちが歯の価値、歯科医療の価値を一人でも多くの人に伝えなければならないのだと思いました。

午後の小宮山先生は著名な先生なのに、とてもユーモアのある人でした。今は亡きブローネマルク氏のお話とインプラントの最初の症例や、最初インプラントは整形外科の領域だったことなど貴重なお話が聞けて嬉しかったです。そして一番印象に残っているのは「慎重さは決して臆病と同義語ではない」とおっしゃられたことです。不安を感じたら“戻る”基本への回帰。自分の心にもとどめておこうと思いました。

OP診療室におけるDHの取り組みの発表の中でも柴田歯科医院の親子で予防に取り組むことは大変重要だと感じました。子供の頃から歯の大切さ、価値を理解し、家族ぐるみでセルフケアをしていかないとカリエスフリーの状態を保つのは難しいと思う。特に子供と長い時間一緒にいるであろう母親の理解が不可欠だと思います。

二日目のコーマン先生はこれからの歯周病学を表す4Psを基本、症例と研究結果のデーターを見せながら肥満、Ⅱ型糖尿病、IL1、様々な炎症の話をしてくださり、慢性炎症性疾患がある患者にどう向き合って治療するかを教えてくださいました。リスクファクターを利用して分類し治療していくことが可能で、炎症の高い人をしっかり見極めマネジメントとしていくことが大切で「すべての患者が同じではない」と何度も繰り返していた。リスクファクターの違いで改善の仕方も違い、一卵性双生児でも異なった反応を示し、同じことをしても良くなる人、良くならない人がいるとわかった。

一人ひとりのリスクを把握し、LowリスクかHighリスクか見極める。リスクが解れば治療と予防は出来るのだとおっしゃられた。私も患者さん一人ひとりとしっかりと向き合わなければいけないと思いました。

午後のOP診療室からの報告で最初に壇上に上がったのは大学生でした。社会人から一転歯学部へ・・・なぜ?この年齢で?と思いましたが、お話を聞き、その勇気と決断に驚き、素晴らしいと思いました。彼のこれからに期待したいと思います。

徳島の川原歯科さんのアウトカムデーターを見て、色々なものを集計してみるとコスト意識も変わるし、見えてくるものがあることがわかりました。

福岡のつきやま歯科医院は毎年発表されていて素晴らしい医院だと思っていましたが、またさらに進化を遂げていて、目標を立てアクションを設定し、みんなで実現化している。医院全体が一丸となっている感じがしました。

最後の熊谷先生のお話は健康保険では認められない予防が自費になること。

そのためには企業の理解とサポートが必要だと話され、新しい医療が垣間見られた気がしました。しかし今のメンテナンスを自費に・・・難問だと思います。これからの予防歯科をどうして行けば良いのか、考えなければいけない時期にきているのでしょう。

今年は院長先生始め、勤務医の鎌田先生もご一緒出来て本当に良かったです。SAT事務局、日吉歯科医院の方々いつもながら感謝申し上げます。そしていつも受講に至るまでの手配ありがとうございました。