ヤニとり

先ほど帰られた方、今まで歯の合悪くなっては受診・・という方でした。つい最近タバコ

はやめたとおっしゃるものの、歯の表面ヤニだらけ、歯茎はニコチンの定着が明らか、唇

の色皮膚のくすんだ感じ、どこを見ても長年の喫煙が伺えます。「ヤニとって欲しい」の

ご要望に”表面だけきれいにしても意味ない事。患者さんのからだのなか息までも汚さ

ていて、少しでも早くご縁を切らないと歯が残せないこと”など話しました。初診で

ヤニとりしませんでしたので、次の予約キャンセルかな?と思ったら来て下さいました。

でも、今までの歯科医院が、何も説明せずにクリーニングと称して、ヤニをとったり、研

磨していたようで、患者さんはそういうものだと思っていたようです。ヤニとりしても何

も解決しません。ヤニとりは医療でしょうか?ヤニをとってきれいにしてあげることも

モチベーションあげることにはなりますが、その連続ではお掃除屋さんにすぎません。

それをする歯科衛生士さんも気の毒です。

当院では喫煙者の患者さんに、たばこの害をお話しするときに、「患者さんの健康も心配

ですが、担当する衛生士のからだも守りたいのです」というとびっくりされます。家で吸

わなくとも喫煙所だけで吸っていても、ご自身の肺にたっぷりためたニコチンを周囲に

まき散らしてるんですよと丁寧にお話しして、減塩・禁煙に導いていきます。患者さんが

ご存じなくてJTのCMに惑わされている方に、きちんと事実をお知らせし、私達は患者

さんの歯も体も心配していますと伝えます。根気のいるアプローチですが、最近はご理解

が深まってきました。禁煙が達成されるとうれしいですが、再び吸ってしまうことがあっ

ても、3回くらいはあるようですねと寄り添い、でも禁煙に向かうようにサポートしま

す。歯科衛生士は仕事とはいえ、いろんなリスクにさらされます。一番大きいのが喫煙者

からの受動喫煙と感じています。守ってやらねばなりませんので、喫煙患者さんに禁煙支

援することは、同時に衛生士を守ることにもなりますし、その後のSRPにも貢献しま

す。喫煙してからの歯茎は”マスキングが取れて本当の状況を示す”ので、衛生士の腕の見

せ所です。ここで中山先生にご指導頂いたスキルが生きてきます。当院ではみんなで応援

します。冒頭に話した新患の患者さんは、まず早く直せ直せ!の一点張りでした。今まで

歯科医院が”お口を環境を整える”という認識で話してなかったのでしょう。患者さんも

幸でした。27日の熊谷先生のTVでも、まず直すでなく”お口の中をきれいに整える

の重要性”を伝えられたと思います。喫煙者はすぐにはきれいにならないけれど、こち

も根気よくお話しし、例を示し、患者さんの口腔内写真・レントゲン写真で実感を持

って認識いただけるよう努めなければなりません。その場その場で場当たり的にやること

は解決にはなりません。少なくとも歯科医療ですから、患者さんのお口の中を通して私達

は患者さんの健康を担うことがエンドポイントでなくてはならないと思っています。当院

に初めていらして、「早く処置を急いでほしい」という患者さんを、「お口の中を整えて

から致します、なぜなら・・」という説明に腐心するドクター・スタッフを手前味噌です

が誇りに思います。その方が帰られてから、会計をずっと待って下さった他の患者さんが

「あの方も中央歯科さんみたいに”悪くなってからでなく、悪くならないように歯医者に

通う”っていう歯医者さんに会ってたらよかったですよね。中央さんに来て、真実を知っ

てわかってくれればいいですね」と私共を慮ってフォローして下さるほどに健康感が上

がっていらして、感謝すると同時に嬉しくもあり、健康支援は、真のパートナーシップか

ら生まれると思いました。患者さん方に教えて頂くことが日々山のようにあります。有難

いことです。

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