患者さんと医師との関係(がん研有明病院・門田先生の放送より)

がん研有明病院院長・門田守人先生が毎週日曜日午前8時から、ラジオ文化放送で、大変

わかりやすいお話をなさっています。今回のお話は当クリニックが礎にしていることでも

ありますのでご紹介いたします。

・現代にも生きる「ヒポクラテスの誓い」

よりよい医療を受けるためには、お医者さんと患者さんとの信頼関係がとても大切です。

ではどのようにしたら、医師と患者さんはよりよい関係を築けるか。これは医療というも

のがスタートした時からの永遠のテーマと言ってよいでしょう。

ヒポクラテスは紀元前5世紀に生まれたギリシャの医師で、それまでの呪術的医療を廃し

、科学に基づく医学の基礎を作ったことから「医学の祖」と称されます。彼が医師の職業

倫理について書いたとされるのが「ヒポクラテスの誓い」です。金銭的報酬だけを目的に

医療を施したり、医学を教えたりすることを戒め、人命を尊重し、患者のための医療を

施すことなどをギリシャ神話に誓っています。この「ヒポクラテスの誓い」を日本に

導入したのが、江戸末期に蘭学を学び、適塾を開設した緒方洪庵で、このヒポクラテス

の考え方に影響されたドイツ人医師によって書かれた、医師が守るべき戒めを「扶子医

戒之略」として12か条になっています。ただ「医療を施す」という言葉が普通だったよ

うに、医療は長い間、医師が患者さんに与えるものでした。ところが現在は、医療の主人

公は患者さんで、患者さん中心の医療が求められるようになっています。医師としての

職業倫理は昔と共通でも、医師と患者さんとの関係は少し意味合いが違ってきました。

・信頼関係を築くには、形よりも中味が大事

患者さんを尊重することはもちろん大切なのですが、最近ちょっと行き過ぎかなと思うこ

とがあります。いつの間にか「患者様」と言われるようになったことです。その発端は

厚生労働省の検討会で「そういう感覚を持って患者さんに接しろ」ということだったと思

うのですが、実際に病院で耳にした時は非常に違和感がありました。「医師と患者の関

係」を「お医者様と患者様の関係」に変えても何も解決しないと思います。それよりも

内容や中味で、どういう関係を築くかを考えることが中心でなければなりません。

患者様という言葉が気になっていたので、一般の方を対象にした講演会で患者様と言われ

ることに違和感があるかないかを聞きますが「患者様がいい」という方はほとんどいませ

ん。信頼関係という事では、医師は患者さんが今どういう気持ちでいるかを思い、どう接

することが患者さんの為になるかを考える。患者さんはへりくだることなく、医師にどう

対応したら信頼関係が築けるかを考える。医師が話すことを十分に理解できていないのに

「ハイ・ハイ」と答えるだけではよい関係は築けません。自分のことを正しく表現するこ

ともコミュニケーションの基本です。呼び方などの形にとらわれるのではなく、医師と患

者さんが対等な人間対人間として理解・尊重し合える関係がベスト。それに尽きるのでは

ないでしょうか.

 

このようなお話でした。健康保険の制約の中で、十分にお時間取ることは難しいかもしれ

ませんが、制約があってもやろうと思えばできないことではありません。門田先生のお話

にある、一方的でなく理解・尊重し合える関係目指して、形でなく中味が大事を心がけ

てまいります。