お口の中に関心持って下さるのは嬉しいけれど・・

今まで医科の先生方が、お口の中(歯科の分野)に関心お持ち下さることは一昔前なら皆無と言っていい状況でしたので、昨今では、歯周病と心臓病・糖尿病・骨粗鬆症・・と関連性に注目下さるようになったのは、大変ありがたい、患者さんにとっても朗報です。
ですけれど、お口の中って人それぞれ状況も違うので、いっぺんに、又一度の歯科医院受診で、お口の中がよい状態になるなんてありえないことも知って頂きたいのです。

と言うのも最近、手術前の患者さんがいきなり主治医から「治療をお願いする歯科医院へ
」というような用紙をお持ちになることが散見されます。その中身を読みますと大変
なのです。なぜと言えば

手術に臨まれる前から歯科で「定期メンテナンス」をきちんとしてらっしゃった方はともかく、事が起こってからでないと歯科にはご無沙汰・・という方が入院だからと言って急にお口の中をすっかりきれいにするなんて、出来ないのです。
そりゃ2・3か月の猶予があれば出来る限りのことは致しますけれど・・。

お口の中の歯石取るくらい簡単だろ・・と思われても困るのです。

歯石がたくさんたまるような方は、まずお口の中に問題抱えていることも多く、時間かけて石になったお口の汚れを、ガリガリ急いで取ればいいという問題ではないのです。
歯石の元は早いうちは柔かい歯石なので、お家でのケアとか歯科医院でもそう大変でなく、コントロールできます。
又歯が抜けっぱなしの方に急に何かを詰めたりかぶせたりも、プラーク(汚れ=細菌の塊)があるお口の中でやっても意味をなしません。

このようなことを踏まえてから、歯科受診を勧める用紙を患者さんに配ってほしいと思います。

いきなり短期で・短時間で治療をしてください・・と言うような用紙を持って見え、全身麻酔の手術するので一か月弱でとご指定されても、口の中精査や治療とおっしゃられても当惑致します。
ましてや手術を控えて、様々な服薬の方も多く、歯科の対応も時間がなくては「おっつけ仕事」しかできずかえってよくありません。

私達歯科からの、発信の仕方が不十分なのだと思いますが、医科の先生方もこのような状況を踏まえて、患者さんにご指示やご案内いただきたいのです。

はたして医科のドクターの中で、何人の方がご自身もお口のケア・虫歯歯周病の定期メンテナンスしてらっしゃるでしょうか?ご自分が日ごろお口の中にご関心持って、定期ケア受けて頂いていればおわかりいただけると思います。

又手術をなさるような病院には、歯科口腔外科が併設されているところも多く、まず院内の歯科口腔外科で連携してフォローしていただき、何も知らぬ患者さんが右往左往しないように、ご案内いただければと思います。
私共としても特にOP(オーラルフィジシアン)グループの一歯科医院として、全身状況・喫煙状況・服薬状況等伺って、安全・安心に診療を進めたいと考えています。

先日このような指示受けて来院下さった方、歯科受診は覚えてないほど久しぶり!6~7本が抜けたまま・残った歯もC3がほとんどといった信じられない状況です。
よくこれで今まで召し上がっておられた?と驚くような咀嚼も出来ない状況です。

鼻腔の蓄膿でなく頭の ”前頭洞炎”となり耐え難い耳鳴り頭痛に悩まされ病名が判明し、手術が決まってからもタバコを1カートン買うほど、生活習慣と病気の関連をご存じない方です。気の毒としかいいようなく、なぜ手術や歯科受診の案内するときに、担当医が「タバコの害」も話してないんだろう・・とその「いびつな対応」に少々腹も立ちます。

医療が専門化することは技術の進歩と相まったことでしょうが、人の体はパーツパーツが皆関連しているのです。からだ全体を見てもっと血の通った対応しないといけないとつくづく感じ、大きな問題だと思いました。

臨床って教科書とおりにはいきません。
そこを感じ取る・読み取る感性が、医療者には不可欠だとつくづく思ったことでした。
難しい時代だからこそ、「人間力」がもっともっと医療には必要です。

一見親切なような歯科受診を勧める用紙の提供ですが、上滑りのないきめ細かい対応が望まれます。自分が患者になった時でも、このような提案は戸惑うばかりと思います。
また、歯科開業医として患者さんにもっともっと自分の体に「関心」もって頂けるように医療者として心尽さねばならないと、反省したことでした。

医療技術・最先端の医療機器に甘んじることなく、患者さんから発する言葉・雰囲気・しぐさ、そして生活習慣。そんなことを読み取る・キャッチする臨床力が望まれます。
医療は人と人だとつくづく思う、気づかされる一日でした。