開院三十年のご挨拶

平成元年、移転当初の医院外観

昭和57年(1982年)12月1日、朝霞の地に中央歯科クリニックは開業いたしました。

その頃と言えばまず思い出されるのは、上越新幹線の開通です。大宮から60分で新潟へ、雪国新潟がとても身近になりました。カード式公衆電話の普及から30年、携帯電話がスマートフォンに取って代わり、公衆電話を探すのに苦労した時代から、現在は手のひらの中に情報通信が入ってしまう身近さです。この30年は「すべてが身近になった」時代でした。私たち歯科医院も、歯を抜き削る存在から歯を守り美しくする存在へと、皆さんにとって身近になりました。

開業当時の朝霞と言えば駅前には公団住宅と畑が混在しており、歯医者とは痛くなったら・被せものが取れたら行くところ、良い入れ歯を作ってくれるところ、といった存在でした。そんな土地柄で「歯みがきしましょう」「そんなもの、毎日してるよ!」「柔らかい歯ブラシを使いましょう」「硬くなきゃ磨いた気がしない」そんなこんなのやり取りの中、丁寧に虫歯や歯周病のお話をし、衛生士による予防検査や処置をしながら、永久歯は一生使うことなどを患者さんに根気強くお話ししました。当時の歯科医院としては、皆様にとって珍しいことばかりだったと思いますが、多くの患者さんは話を聞いてくださり、予防の大切さを少しずつ受け入れてくださいました。

平成24年、現在の外観

この様な状況から次第に患者さんがたくさん来てくださるようになり、子供連れの方も多く、小さな待合室にベビーサークルを置いてお子さんには待っていただき、入りきれない赤ちゃんはスタッフが抱いて隣の空き地で子守りをしたのも懐かしい思い出です。

忙しく患者さんの対応に追われる毎日の中、「歯も大切なからだの一部としてケアしてほしい」という思いは募る一方でした。そして当時の予防の先鋒だった大阪の先生の門をたたき、現在では日本の予防のパイオニアのグループに入って「どうしたら皆さんの歯と歯茎の病気を食い止められるか」「どうしたら歯を失わないで済 むか」と言う大命題に取り組んで今日までまいりました。

また、いろいろな患者さんにも出会い、教えられてきました。

口腔癌の手術のあと、せめてお食事だけでも十分に楽しんで召し上がっていただきたいとお口の中を見れば、再発を恐れて根こそぎ大きく手術されており、入れ歯を作る土台もないほどで、医科と歯科の連携のなさを教えられ、悔んだこともありました。歯科医も皆様の美味しい毎日・おしゃべりを楽しむ毎日に、もっと積極的に関わっていきたいという強い気持ちから、平成元年、現在の地に移転し、平成17年には全個室の新しい診療室に改装して、皆様に定期検診とメンテナンスを習慣としてもらえるようにリラックスできる医院に生まれ変わりました。それも聖路加国際病院の日野原先生の「習慣がつくる心も体も」の言に触発されてのことです。

「歯医者はイヤな・怖いところではなく、健康維持のために行くところ」と感じてくだされば幸いです。治療が必要な時も、皆様の歯は「宝物」ですから、できるだけ小さく処置させていただきます。お口は皆様が毎日お使いになるご飯茶碗同様に、大事にいつもキレイにしてくだされば、ゴキゲンな毎日が約束されます。一人でも多くの方が歯科医院を健康維持のためにご利用になり、「ご自分の体を大切に思う見事な方 」になっていただきたいと願っています。

これからも中央歯科クリニックは、患者さんの健康づくりの良きパートナーとして伴走してまいります。

平成24年(2012) 12月1日 中央歯科クリニック  院長 奥富史郎